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ぼけつのさき
同じ類















ガチャリ、





「「あれ。」」










目を合わせて二人して同じ音を零した、俺と片平さん。二人してぱちり、と瞬きしたと思ったら後ろに居た日吉が隣に出てきて。日吉も片平さんに気が付いたようだけど怪訝そうな顔をしていて。





「びっくりしましたー…鳳くん、に日吉くん、どうしたんですか?」


こてん、と傾けた頭によってサラリと零れたセミロングの髪は、窓から入った光によってきらきら光る。朝から続いているこのいい天気は部室の中も明るくしていた。空気もこもっていないし、片平さんが部室の窓を開けているんだと思う。



「あーえっと、練習に来たんだ。片平さんは?」



そう返すと今度はこちらを怪訝そうに見てきた日吉。あー…言いたいことは判るけど…その顔は何となく怖いからやめてくれないかな…。




「朝の分のタオルの洗濯と、ちょっとだけ減ったドリンクの補充です!」




手に持っていたボトルを上げた片平さんはにへ、と笑って。確かに奥からはゴウンゴウンと洗濯機の周る音が響いていた。あーそう言えば朝200人分の部員全員のドリンクとか作ってたんだった…片平さん。やっぱり当たり前と言たら当たり前だけど、自分の時間を使って用意していたんだなぁ、なんて思ってしまって。




「…お前、部室の鍵はどうしたんだ。」




日吉から聞こえた声に反応してそちらを向く片平さん。
…片平さんお昼食べたのかな。



「監督に言って今日は借りてきました!後日合鍵を下さるようですよー」

「合鍵…?」

「え、ぁ、ハイ!監督って面白い方ですね!行ってヨシ!なんて言われた時一瞬呆けてしまいました!」



「行ってヨシ!」と言葉を発した時に丁寧にも同じようにポーズを付けた片平さん。監督がやるあのポーズは何だかこう、がっしりして何と言うか笑ってはいけないような感じだけど…片平さんのは戦隊モノに憧れた小さな子が真似するそれにそっくりだった。



「ぷッ…そ、それ…監督の前でやったの?」

「ハイ!指導されてしまいました!こう、指はこうで、何か決まった角度があるらしいです!」

「……」


くい、と指先を正した片平さんにあーなんか平和だなーなんて思いつつも日吉がスタスタとコートに向かったので慌てて片平さんに口を開く。



「あっごめんね片平さん!俺練習あるからもう行くね!」

「ハイ!…ぁ!タ、タオルかドリンク必要ですか?」

「いや大丈夫、ありがとう!じゃ!」

「はいー頑張ってくださいー!」




タっと日吉の見えた方向へ走りだす。スタスタ行ってしまうのはまぁ日吉らしい行動といったら日吉らしいんだけど。世渡り上手では決して無い行動に苦笑を零しつつも日吉を見る。すでに日吉はボールとラケットを手に持っていて。やる気十分って感じ、か。



「……」

「あーすぐ用意するからその視線は止めてくれ、ないかな…」

「違う。お前が新しいマネときちんとした会話をしていることが気味が悪いと思っているだけだ。」

「き…気味が悪いって…」




同じような苦笑を零しつつも長袖のジャージをベンチへ置く。今日は日も出ているし大丈夫だろう。カタリ、とベンチに掛けてあったラケットを手に持ち、日吉と反対側のコートに入っていった。




「確かに俺は綾乃先輩以外のマネは信用はしていなかったけど、片平さんは別だよ。」

「別…?」




「俺と同類ってこと。」




二コリ、と笑って言うとぽかんした日吉が居て。判らなくてもそのうち解るだろうけど何となく言わずにラケットをきゅ、と握った。
昼休みは短い。さっさと練習しなくちゃ、ね。




「行くよ」




すッと目を細めて腰を低くした日吉を見て、黄色を蒼へと放り投げた。































日吉の声ってツナパパって最近気が付いた。ていうか短いな今回。
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あきゅろす。
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