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批評想草
第一作目C
■この作品の問題点

 他人に世界を創造させるために必要な描写が最低限も使用されていませんでした。そのため、読み手は非常に疲れを感じます。
 このような疲れを与えないため、簡単なものでよいので、どのような場所にどのような人物がいてどのように活動しているのかをきちんと書く必要があります。

 作者が十代前半と若いこともあり、「難解な単語を使用した文章こそ小説」という印象があるように感じました。これはとんだ勘違いです。物語に本当に必要な文章とは、「物語にあった文章」であり「難解な文章」ではありません。
 御伽噺のようにファンタジックな世界観に、論理的で他人事のような文章なんて、合うはずもなく、このような作品は読者に違和感を与えるだけです。固定客は掴みにくくなってしまいます。

 この作品では、冒頭で人物描写のないままに、人物の会話を進めています。そのために単語がイメージとして張り付いてしまい、人物がのっぺらぼうのようになってしまいました。
 不特定な人物を描くのならばこのままでも十分ですが、そのように描きたい様子にはとても見えず、結局「人物のイメージがマイナスからスタート」しています。その結果、人物の魅力に欠けた作品となってしまいました。

 論理的で難解な文章を選んでいるのにも関わらず、文章の基本的ルールが守れていませんでした。ネット小説におけるルールはとても曖昧なものでありますが、このような文体で基本が守れていないと、どうしても「浮いた」印象を受けてしまうものです。
 ちょっとでも文章が堅いかもと感じたら、ルールは守るようにした方が得策です。

 人物によって表現や作風を使い分けることも大切です。
 例えばこの作品は「絶叫と悪態が吐ける少女」が主人公でした。このような作品の場合、親切丁寧な文章は逆に面白みを書いてしまいます。少し感情的な方が良い、となります。

 この作品は一般的な言葉で構成されていました。しかしジャンルを考えると、非常にもったいないことといえます。
 ファンタジーの場合、言葉で特別な世界の雰囲気を演出する必要があります。それが異質なものであればあるほど、言葉も異質になります。
 また、雰囲気は言葉でなく小道具でも醸しだすことが出来ます。自分の世界観にあった言葉やアイテムの模索が必要なのです。

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