批評想草 空白の魅力 一マスあけること、つまり空白、「 」ですね。空白もまた、点や丸のように時間をおくことが可能です。 ただしこちらは、表すものが真白の空間であるために、点や丸が持つ「時間を置く」という意味合いを持たないです。むしろ「空気を置く」ということに近いかと思われます。 歌でいうと「γ」つまりブレスとの役割です。 before] 幼い手を繋ぎ、歌った。キュソ美の笑顔が、キュソ子の毎日だった、あの頃。 キュソ子とキュソ美 ずっとずっと友達なの 友達なんだよ 幸せなんだよ after] 幼い手を繋ぎ、歌った。キュソ美の笑顔がキュソ子の毎日だったあの頃。 キュソ子と キュソ美 ずっと ずっと 友達なの 友達 なんだよ 幸せ なんだ よ 空白を使うことで、時間の経過や二人の関係が今は失われたものだという感傷などが表せていませんか? 文章ではけして表せない空気感。これを、空白はつくることが出来るのです。 また、空白のマジックは、それだけではないです。 before] キュソ子は走った。 太陽の光が明るい。 微笑む草原の匂い。 おいでよ、おいでよ。 キュソ美が待っている。 after] キュソ子は 走った。 太陽の 光が 明るい。 微笑む 草原の 匂い。 おいでよ、 おいでよ。 キュソ美が 待って いる。 空白を入れることで跳ねるようなリズムが生まれ、文章が躍動している感じがしませんか? これは「スイミー」などの児童向け小説によく見られる手法で、音読も歌のように出来るという不思議な楽しさがあります。 このように空白は、文字にはない不思議な魅力があるのです。 ただし、やりすぎには勿論注意です。「、」や「。」のように多用でうざったくなる他、逆にテンポを壊してしまう可能性があるのです。 [前へ][次へ] [戻る] |