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批評想草
第二十二作目@
■恋愛物
■ストーリー
 気の弱い主人公には心惹かれる人物がいたが、それをクラスメートに知られてしまい虐めの対象となってしまう。

■要望
 文章力、ストーリー展開、キャラクター、伏線、などの点を中心に批評してもらえれば幸いです。

■批評レベル
長所・安定した文章力
短所・ストーリーなど

■総評
 文章力は中の上くらいで、かなり安心して読めます。ただし、他の爪がとても甘く、残念な印象も残りました。
 今後は、物語を組み立てる前に「もっと面白くなるにはどうしたらよいか」きちんと捻り、物語としての完成度を高めていって下さい。

■批評

 実はこの作品の二頁目を開くのに、一ヶ月以上かかりました。
 どうしても一頁目で「もういいや」となってしまうのです。

 文章力が無いからか、と問われたら、けしてそうではないと思います。
 日本語として間違ってると感じる部分もないし、そこらへんに散らばるネット小説の中では、かなり上の部類に当てはまるような力を持っていると思います。

 だけど、読めない。 その理由は、いたって簡単です。「冒頭に刺激がない」のです。

 冒頭では、主人公が「憧れの人」について語っていますね。ですが、これだけでは読者を引き込むにはあまりにも弱いです。
 友達が一方的にえんえんと喋ってると、つまらない。あれと同じです。

 この作品は、一人称。
 つまり、見知らぬ人から長々と自分語りを聞かされるという手法。とても「飽きやすい」のです。

 ですから一人称を使う時は、他人を飽きさせない刺激を常々与えなければなりません。そしてそれは、冒頭にこそ注意をはらなければならない。

 一人称、特に冒頭は「刺激あるエピソードを置く」もしくは「サクサクすすめる」です。
 そうすれば「もういいや」ではなく「もっと読む」となります。

 他に文章で気になった部分は、「語り口が別人だと感じることがある」という所です。
 一人称のはずなのに、主人公が使用しなさそうな単語や語り口、思考がたびたび見られます。
 なんだが、別人が主人公になりすましているような印象を受けました。これでは、感情移入しづらいし、なにより嘘っぱちに思えてしまいます。

 確かに作者は主人公ではないし、もしかしたら性別も性格も違うかもしれません。
 ですが、あくまで語っているのは主人公なわけです。ですから作者は、主人公になりきらねばなりません。

 一人称は作者の一人語りではなく、主人公の一人語りということをきちんと意識して演じまくってください。

「え! この人、主人公と性別も年齢も違うの!?」という驚きを読者に与えられるくらいになったら、最高です。

 次に、ストーリーについてまいります。
 第一印象は「文章に合ってないよな」でした。
 依頼者様は文章力が平均より上です。ですから、高度な作品を期待したのです。

 ですがこの作品には、「メッセージ性」も「驚き」も「捻り」もありません。
 なんだか高級レストランに招待されて、出されたのがライスだった、そんな気分です。

 多分、タイトルのせいもあるかと思います(……ホラーだと思ってました)。

 起承転結は大事です、お約束の流れも安心感があるのでよろしいです。
 ですが、こんなにストレートに出されても面白くないです。
 どこかで見たようなイジメ話を並べただけではないですか。しかもイジメの内容も、どっかで聞いたものばかりではないですか。これじゃあ、依頼者様が書かなくてもいいじゃないですか。

 捻りましょう。
 プロットが出来たら、小説を書く前にまじまじとそれを読み直してください。「これ、本当に面白いのか?」と疑いまくってください。
 そしてちょっとでも不安があったら、気合入れて「捻って」ください。
 知識も閃きもいりません。とにかく作品をこね、あるいは千切り捨ててください。「やべえ、これ面白い!」と作者が思うくらいに捻ってください。

 そのくらい大胆にいかないと、読者に面白さは伝わらないものです。
 遠慮はいりません!
 この作品の主人公は、間違いなくいじめっ子ですよね。

 と言ってしまいたくなるほどに、他のキャラクターに力がありません。特に主人公は完全に食われてしまっています。
 これでは、作品におけるカタルシスが激減してしまいます。

 また、主人公と同じ人が好きないじめっ子が、好きな人の友人に攻撃を与え、イジメに制裁を加えたのが好きな人という形では「主人公の片思いを通した成長物語」ではない。
 物語の説得力はないし、これでは主人公はいない方がいいように思います。

 現に今作は、「爽やかな物語だった」という読後感はなく、「嫌な女の子が出てきた」という印象しか残りませんでした。

 キャラクターを作る時は、作品の流れを考えた上で性格や行動にバランスを持たせ、物語の軸を曲げないようにキャラクターを動かすようにしてください。

 以上で書評を終ります。
 少しでも参考になりましたら幸いです。


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