絶チル小説 H その晩、皆本の家で、葵が行動に移した。 葵「皆本はん、古新聞あらへんか?」 皆本「古新聞?そこにあるけど、何をするんだ?」 テレポートがうまくいかないという智尾に、葵はあるテストをさせることにした。 薫「何してるんだ葵?」 葵「まぁ見ときって!」 薫が不思議そうにするのも無理はない。 葵は新聞紙を1枚取り出し、それを1面分の大きさに折り畳んだ。 葵「あとは……タオルや!」 葵は洗面所にタオルを取りに行った。 そこに張本人とも言える智尾もやってきた。 智尾「何をしてるんだ?」 紫穂「葵ちゃんが、智尾くんにテストさせたいらしいわよ。」 智尾「テスト…?」 智尾の頭には、「?」しか浮かばなかった。 そして道具一式が揃ったようで、葵は智尾に言い放った。 葵「ほなやるか智尾はん!」 智尾「あ……、…え?」 葵にいきなりやると言われても、智尾は何をするか分からなかった。 そして葵は、やることを具体的に、かつ簡単に説明した。 葵「今からやるんは、テレポートでこの新聞の上に移動するんや。ただし、目隠しをした状態でな。」 その葵の考えに、皆本は気付いた。 皆本「なるほど。葵も考えたな。」 葵「おおきに皆本はん!じゃ、まずはうちが見本を見せるわ。」 葵は眼鏡を取り、タオルで自分の目を隠すと、手をいつものように組み、テレポートした。 葵「よっしゃ!ピッタリや!」 そして、綺麗に新聞紙の上に着地した。 葵「じゃあ、次は智尾はんやで。」 智尾「あ、あぁ…。」 言われるがままに、智尾は目隠しをし、同じ要領でテレポートをしようとした。 しかし、視界が塞がれては、どこに新聞紙があるのかなど分かるはずがない。 智尾「何も見えない…。どこに新聞紙があるんだ?」 智尾は混乱した。 しかしすぐに、皆本が説明に入った。 皆本「大丈夫さ、智尾くん。テレポーターでもある君には、空間認識能力が付いているんだ。」 智尾「空間認識…?」 少し難しい言葉に、智尾は疑問を覚えた。 皆本「空間認識能力は、テレポーターにのみ分かる感覚だ。テレポーターは三次元空間を直に感知して、それを操るのだからね。だけど普段は視覚に頼ってるから、それを生かしていないだけなんだ。大丈夫、君なら出来るはずだ!」 皆本の理論と応援に、智尾はやる気を出した。 智尾「分かりました。やってみます!」 智尾は自分の感覚、神経を全て集中させ、新聞紙の位置を読み取り始めた…。 智尾「ここだな!」 智尾の手が緑色に光り、それと同時にテレポートした。 そして智尾は、新聞紙の上に乗った。 チルドレン・皆本「やっ…、あ…」 智尾「あ…」 しかし智尾のかかとが、新聞紙の後ろへはみ出てしまった。 葵「惜しいなぁ…。」 葵も悔しがった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |