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絶チル小説
C
そして何より、この件に関して最もショックを受けているのは、他でもない当人である。






皆本「ち、智尾くん…。」

智尾「……!」






ふと智尾は、握り拳を作った右腕を前に差し出し、あたかも得意技の「ブラッディ・ナックル」を繰り出す体勢を取った。









智尾「…はっ、…ふんっ…!」

賢木「……。」

紫穂「智尾くん…。」






しかし、何も起こらないその行動は、力が出ないことを確認するだけだった。




無情な現実を、正しく身をもって直視させられた智尾は、差し出していた腕を下げ、項垂れた。






智尾「…僕は、もう…。」






不思議と涙は無く、気持ちの上での「絶望」だけが智尾の周りを包んでいたが、皆本はそっと話し出した。






皆本「智尾くん、今後の君の保護はバベルが受け持つし、もちろん能力の回復に向けたサポートも全力でやるつもりだ。…とても退屈で、辛いものにはなるだろうけども…。」

智尾「…そうすれば、僕の能力は必ず戻るんですか?」

皆本「それは……。」






話を切り出した皆本だったが、智尾の正直過ぎる疑問に、口を歪め、それ以上を語れなかった。

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