絶チル小説
それぞれの想い……紫穂
紫穂「智尾くん…。」
皆本さんから、智尾くんが脱走したことを聞いた。
薫ちゃんや葵ちゃんは悔しがっていたけど、智尾くんの気持ちを考えて、そこまで荒むことはなかった。
私も、そこまで大きなショックは受けなかった。
何故なら私は、こうなることを予想していたから。
超能力が使えなくなったことで、明らかに智尾くんは遠慮するようになっていた。
まるで「僕は要らない」と言わんばかり……いや、言ってないだけで、そう思っていたはず。
賢木先生の診察が終わってからの様子を見ると、そこでもう決意していたみたいだったし…。
でも……そこで話し掛けられなかった私もダメだった。
私が話し掛けても、何も変わらなかったかもしれない。…でももしかしたら、万が一、変わったかもしれない。
前にパーティの囮で逃げ込んだ時、あの廃ビルの中で交わしたキスは忘れられない。
あれがファーストキス……あ、でも前に蕾見ばーちゃんに奪われてたっけ。
彼は私のことが好きだった。
そして私を彼を好いていた。
もう少しだけ、素直になりたかった……。
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