絶チル小説 N そして皆本は、改めて賢木に礼を言った。 皆本「賢木…この前はありがとう。今度ゆっくり奢らせてくれ。」 心からではない無理な笑顔ではあるが、それが皆本に今できる最大の誠意だった。 賢木「あ…おぉ、奢ってくれんのか?」 それを聞いた賢木の表情は、面食らったように、何故か強張った。 まるで、突然何か物言いされたような、困惑にも似ていた。 そこで、今度は賢木から切り出した。 賢木「別にオレは何もしてねぇけど…タダ飯ならいただくぜ?」 皆本「タダ飯?ただじゃないよ。この前のことだよ。」 賢木「この前…?」 2人の会話の歯車は、微妙に噛み合わない。 皆本は、賢木が意地悪に焦らしているのかと思い、分かるように直言した。 皆本「だってお前、廊下で話をした時に…」 賢木「廊下だって!?」 その言葉の直後、賢木は表情と声色を変え、食い気味に答えた。 賢木「待て皆本。オレはここんところ、富士の施設に居たんだぞ?…ESPの研究だって、今日やっとこっちに戻ったんだ。それで、何でお前と廊下で話せるんだ?」 皆本「え…!?」 思い違いは明らかな異変となり、さらには確信に変わった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |