絶チル小説 N 甲板からテレポートした智尾は、船内の機関室にやって来た。 智尾「ここが船の心臓部か…。」 不可思議な機械が休みなく動き続け、それと共に響く轟音が静けさを奪っている。 智尾「…ん、あれは?」 そんな中智尾は、機械の制御盤らしき物の前に、大柄なサングラスを掛けた3人の男を見つけた。 それはまさしく、タンカーに乗っていた反エスパー団体「普通の人々」のメンバーであった。 そして1人の男は、録画が出来るハンディカメラを持っていた。 智尾「待てお前ら!」 智尾は「普通の人々」の容姿をあまり知らなかったが、思わず男達に向かって叫んだ。 男A「な、なんだあの子供は?」 男B「もしかして、あれはバベルの特務エスパーじゃないか!?」 男C「でもこれは好都合だな!攻撃してるところさえ録れば、あとは編集してエスパーの仕業に出来るぞ!」 自分達以外に誰も来ないような場所に、そこに来ることのない子供の声が響き、男達は驚いた。 しかし咄嗟に考えを転換させ、好機と捉えて逃さなかった。 男C「へっ!攻撃でもしてみろ、このクソガキが!」 智尾「な…何だとてめぇらぁ!!」 男の放った侮辱的な言葉に、智尾は怒り心頭となった。 智尾「サイキック・ブラッディナックル!!」 智尾は男達に向け、得意のブラッディナックルを放った。 しかし、これが男達による策略であった。 男C「今だ!」 男達はそこから散開し、そしてハンディカメラを持っていた男が録画を開始した。 智尾「な!しまった!」 そして智尾の放った拳は、制御盤に当たってしまった。 男A「見ましたか皆さん!あのエスパーめは、ノーマルの我々に対して攻撃を仕掛け、さらに船の機関室を破壊する行動をとりました!」 男B「我々は何もしていないのに…やはりエスパーという生物は、この世に居てはならない危険な分子なんです!」 その瞬間に男達は、録画している映像に聞こえるように喋り、完全に智尾が悪者となる結果を作り出した。 そしてその映像だけを撮り終え、男達は一目散に逃げていった。 もちろん智尾は追おうとしたが、複雑に入り組んでいる機関室が仇となり、男達を見失ってしまった。 智尾「し…、しまった…。」 船の機関を破壊してしまい、おまけに犯人を取り逃がしてしまい、智尾の心中は絶望に暮れていた。 その気を察し、皆本が智尾に通信した。 皆本「智尾くん、やつらを逃がしてしまったのは惜しい。でも、今はテレポートでやつらよりも先回りをして捕まえるんだ。」 智尾「…分かりました。」 低い口調ながらも、冷静に智尾は皆本の指示に従った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |