絶チル小説 L 薫達もいなくなり、再び智尾と紫穂の2人きりになった。 智尾「さて、オレ達も行くか。」 紫穂「そうね。」 そして智尾は歩き始めた…。 ところが何歩か足を進めると、孤立感を覚え、智尾は後ろを振り向いた。 智尾「……おい、紫穂?」 紫穂「……。」 何故か紫穂が付いて来ないのだ。 もちろん智尾は疑問を投げ掛けた。 智尾「何してるんだよ紫穂。さっさと来いよ。」 紫穂「へぇ〜…。」 紫穂は智尾に向けて冷たい視線を送り、何かを訴えていた。 堪らず智尾は紫穂の元に戻り、問い質した。 智尾「何だよ紫穂。言いたいことがあるなら言えよ。」 紫穂の目の前に立った智尾は、少しだけ口調を強めて言った。 紫穂「別に…。ただ女の子相手に、自分だけ行くのはどうかと思うわよ。」 智尾「はぁ?」 その言葉に智尾の頭の中では、疑問と驚きが渦を巻いていた。 紫穂は智尾に「何か」を求めて、いじくっていた。 智尾「…訳の分からない事言ってないで、パトロールに行くぞ。」 紫穂「そんなきつい口調で言わなくてもいいんじゃないの?」 厳しくも毒のある言葉を吐いた紫穂だが、決して怒ったような態度ではない。 それでも、なかなかこの場を動こうとしなかった。 そして先に痺れを切らしたのは智尾だった。 智尾「まったく…!」 紫穂「あ…、」 智尾は動こうとしない紫穂の手を握り、引っ張った。 女の子の手特有の柔らかい感触と温もりが、智尾の手へと伝わる。 紫穂「……!」 思わず顔を赤くする紫穂だが、まさにこの「手を握ること」を望んでいた。 智尾「……さっさと行くぞ…!」 紫穂「…わ、分かってるわよ!」 智尾も気恥ずかしさからか、顔を赤くしていた。 口調こそは強気だが、引っ張る力はとても優しかった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |