短篇集
2
天気予報は雪マークが付いていた。
寒さには強いつもりだ。コートとブーツのお陰で寒さは然程気にならない。
平日の昼間。
人は疎ら。擦れ違うのは大抵主婦。
本当なら、仕事でもしていないといけない時間帯なのだろう。
財布は寒くなる一方。そう、今は失業中。
先の事を考えると、気分は暗澹としてくる。
過去の事を考えても同様だ。
どうせ役立たずですよーだ。
ちょっぴり捻くれた気持ちになって、ふと顔を起こす。
雪が、降っていた。
黒々とした林のお陰で、その姿はシルエットになり。
綺麗だと、思った。
雪がこんなに綺麗な物だったと、初めて教えられた気がした。
こちらに向かって漂う白い妖精達は、笑いかけているようで。
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