RAPTORS 6 扉から流れる、人の列。 それは、女、子供。 かつて子供だった同世代の少年達。 傷付いた兵。 老人。 中には古い知り合いも居る。 「…鶸」 その列を見ながら、黒鷹が呟く。 「俺は正しい事をしているか…?」 また、迷っている。 これが、今残る、地の民。 傷付き、疲れた者達。 「あったり前じゃん。皆に自由を与えてるんだろ?良い事じゃん」 「…うん。でも、何か違う…」 鶸は不思議そうに、そんな横顔を見る。 「自由と命って、どっちの方が重いんだろうな」 独り言の様に訊く。 今の、開放の先に彼らに待っているのは、過酷な戦いなのだ。 それは本当に、彼らの望むところなのだろうか。 「ムズカシー事は分かんね」 鶸は、コリコリと頭を掻く。 「でも、どっちも大事だろ?でもって一番大事なのは、楽しく生きる事じゃないかなーって…いや、真に受けるなよ、俺の話なんか」 「いーや、受けてやる」 「おいおい…」 「生きるのも戦うのも、皆自由に生きる権利あるんだよな、だろ?」 「…そうだな」 再び、まじまじと人の列を見る。 皆、期待と不安の入り交じった顔をしている。 生きるのも、死ぬのも。それが自分の意思ならば。 「――きっと、後悔しないよな…」 「して、たまっか」 悪戯っぽく、鶸が笑った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |