RAPTORS 2 司祭によれば、これが寺院にあった最後の食料らしい。 量は少ないが、美味しそうな品々が乗ったテーブルを五人で囲む。 「司祭も城跡に来る?」 それとなく、黒鷹は訊いてみた。 食料も無いが、ここには既に安全性も無い。 「お邪魔ではないのですか?」 「全然。むしろ一緒に来て欲しいんだけど」 「嬉しいお言葉です」 「でも窮屈だとは思う。地下道と地下室の一部に、民の皆が入らなくちゃいけないから。それでもいい?」 「充分です。ご一緒させて下さい」 笑って頷く黒鷹。 「それで、縷紅、今日の作戦は?」 視線を横にずらし、訊く。 「動くのは夜半、開放してそのまま城跡に向かいましょう」 言いながら、図面を一枚、机の上に置いた。 「これが収容所です。私が二年前に行った時の覚書ですが。監視塔が二カ所あります。鍵はこのどちらかにあって、外からでも入れます。同時に乗り込むのが良いかと」 「どのくらい人が居る?」 「常に十人程は居ますね。夜なので一階部分で半数は眠っている筈です。二階部分は仮眠や休息で二、三人、三階で監視しているのは二人」 「詳しいな。それも軍の仕事だったのか?」 「ええ。管轄内です。外に階段があります。三階から襲撃しましょう。一人でも逃がせば、私達の動向が知られて危険です。二人一組で動いて、一人が三階へ、もう一人が一階出入口で見張りを」 「了解。誰と組む?」 「俺?」 鶸とたまたま目の合った黒鷹が自分を指差せば。 がたん!! 故意に、荒々しく器を置く隼。 「…隼、俺と…」 忘れていたと、苦い物を呑んだ思いで、黒鷹が名乗りをあげる。 それを見て、鶸が横の縷紅に、 「よーっぽど嫌われてんのな、お前」 小声で言った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |