RAPTORS
2
王宮に来て二日目。根に来て六日目。
黒鷹は布団の上でふやけきっていた。
「なぁー隼ぁ、ホンットに面会の予約入れてくれたの?」
「そんなに不安なら問合せたらどうだ?」
今、彼らは総帥との面会待ちの最中である。
何がそんなに忙しいのか、同盟という重大な話は、スケジュールの一番最後に記されたらしい。
そんな訳で、彼らは順番待ちの間、王宮の贅沢暮らしに浸かっている。
「俺、明日には帰んねぇと、鶸に王位取られる」
「何で?」
「一週間帰らなかったら、お前が王だって言って来た」
「誰も要らねぇから、王位なんざ」
「だよなぁ。鶸も嫌がってたし」
ごろりと、黒鷹は寝返りを打つ。
「…本当に、誰も要らねぇのかなぁ?」
「地の場合は、な。今は面倒なだけだし」
「多分今、俺隼と同じ事考えてる」
「だろうな」
根の国――王を倒した、総帥。
何の為に?
「お前さ、根がおかしいって思わない?」
訊いたのは隼だ。
「おかしいって言うか…予期しない事ばかり起こるし…」
「これはあくまで俺の考えだけど」
隼はそう前置いて言った。
「…根はどこかと戦争しようとしている…」
「えっ!?」
「少なくともこの空気は、そうとしか考えられない…」
「――じゃあ、何処と…?」
戦をする為に、根を軍事国にする為に、王を倒した“総帥”。
「ひょっとして俺達、敵の真っ只中に居る…?」
しばらくお互い目を合わせ、口を閉ざす。
四面楚歌。
「…でも、まぁ、今地を攻めても領域が無いし」
苦笑混じりに、隼は言う。
「天を倒さなきゃいけねぇんじゃない?根も地も」
「ま、その為の同盟だよな」
強張った笑いの後、部屋の温度が下がった様だった。
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