TRPGリプレイ 街の現状とアコくんの現実3 【GM/神父様】:「なるほど……そこまで御存知なのですね。分かりました、全てお話しましょう……」 そう言うと、神父はゆっくりと語り出した。 アコがどこの生まれかは知らない。 だが、今の家族や兄弟と血が繋がってないのは確からしい。 アコの家族は酷いものだが、それでもアコは心優しい素直な子に育った。 この街の住人にしては信仰心も篤く、神殿にもよく来ていた。 ある日、ケガをした動物を手当てしようとしているアコを、神父は偶然にも見掛けた、その時だった。 アコの祈りに神が応え、〈ヒール〉の奇跡を起こしたのだ。 アコにアコライトとしての才能と適性を見出だした神父は、アコの母に神殿で勉強させるよう勧める。 しかし、アコはすでに娼館に引き取られる契約がなされていた。 幼いながらも女の子と見間違えるほどの、アコの容貌が災いしたのだ。 それでも神父は、なんとか説得を続け、しぶしぶながらも娼館に引き渡すのを延期させることができた。 それからというもの、神父はアコに、それは熱心にアコライトとしての勉強を教えた。 しかし、それももはや限界に近い。 あくまでも、神父は他人だ。 家族の問題に必要以上に口を挟むわけにもいかず、引き取るだけの貯えもなかった。 このままではアコは、娼館に連れていかれてしまう。 そこで神父は一計を案じた。 アコを、元手も要らず一攫千金が可能な職業、冒険者にさせようとしたのだ。 危険は伴うが、今のアコを救うには、それしかない。 そう考えた神父はそのことをアコに伝えた。 幸いにも、アコは意欲を見せたが、試験を受けるにはまだまだ未熟。 それゆえ、もう少し力をつけ、信頼できる仲間ができるまでは待つように言っていた。 【GM/神父様】:「――私の話はこれで全てです」 【シャノン】:「娼、館……」 【ラクウェル】:「……嫌な話だね。それで? なんとかならないかい? 次の試験……1週間後の試験を受けられるまででいいんだ。信用してもらえないだろうけどさ、あたいらはそこそこやるんだよ?」 [*前へ][次へ#] [戻る] |