エンドレスデイズ
君の笑う顔が視界の中心で乱反射した。

エンドレスデイズ

ある第3日曜日、僕は目を覚ます。
とっくになりやんだ目覚まし時計に手を伸ばし電源を落とす。
「(10時…早起きしちゃった)」
頭をかき乱しながら欠伸する。
「(日曜でも暇だな…)」
これからどうしようか、考えてる最中に君から電話がきた。
「あ、もしもしー?今暇ですかー?むしろ寝起きですかー?」
やけに間延びした声が頭を揺らす。
「暇でしたら、ちょっと話しません?」
あぁ、うん。返事をすると外出れます?と返ってくる。
部屋を出たくはなかったが断る理由もなかったので承諾する。
では、並森公園でお待ちしてます。ぶちっ、電話が切れる音。ぷーっぷーっと機械音。
「(じゃあ着替えないと…)」
ベッドからはい出て僕はクローゼットに手を伸ばした。

「遅かったですね、雲雀くん」
木製のベンチに腰かけて君はふわりと笑う。
久しぶりの姿。懐かしくなり話で盛り上がった。
猫が喉を鳴らしながら近づく。
僕、猫には好かれやすいんですよ。君が少し得意気に笑う。
そして君は俯きつつ呟いた。
一瞬の沈黙。もう、帰りましょうか。君が言う。
うん。同意して立ち上がる。
僕が立ち上がり、君が逃げ出した猫を追いかけて視界の端から消えたのはその時。
やかましい音と、空気の震え。
君は赤にまみれて帰ってこなかった。
眩しいくらいに視界が歪んだ。

僕は目を覚ます。やまない目覚まし時計に手を伸ばした。
今日は第3土曜日。昨日の記憶がない。
「(なにか忘れてるかな)」
鳴り出す携帯。会えませんか?並森公園で。どこかで聞いた台詞。
とりあえず、行かなくちゃ。

「こんにちは、雲雀くん」
変わらない笑顔。
髪の毛を耳にかけながら君が笑う。今日は、ずいぶん不服そうですね。
「君、なにか隠してない?」
言う瞬間、君の顔に影が落ちた。
そして君の体を貫くひとつの物体。
やけにやかましい音と、視界を歪ませる君の笑顔。
眩しすぎる笑顔が僕の視界を捕らえて離さない。
フラッシュバックする昨日の記憶とつんざく悲鳴。
すべてが眩んで君の体を赤に染め上げる。
あぁ、そうだ。こんなことだ。

目を開く第3日曜日の朝。鳴り響く前の目覚まし時計の電源を落とす。
ねぇ、これから会えない?
君に電話をして並森公園で待ち合わせる。
「珍しいですね、雲雀くんが話そうだなんて」
猫を撫でながら君は笑う。
ねえ、君なんのつもり?
「おや?僕は何も隠し事など」
君はもう何度死んだの?
そう言った時君は笑顔をなくす。
走り出した猫。追いかける君。
飛び込み押し退けた。やけにリアルな音と感触。
どう?友人が死ぬ悔しさは。
僕は笑った。目を閉じた。

「骸さん、」
「何度廻っても結果は同じようです」
猫を撫でながら並森公園のベンチで赤にまみれた彼を眺める。
立ち上がり頬を撫でる。彼は笑ってた。
―fin―
カゲロウデイズのような昨日公園のような。
輪廻をめぐれるからこそ繰り返す苦しみを知ってそうな骸さんと繰り返す苦しみを叩き割ろうとする雲雀さんでした。

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