じゃんけんぽんで泳いで会いに行くよ(雲ツナ
「雲雀さん、雲雀さん」
そう相変わらずの小動物は僕の名を呼ぶ。
今日は7月7日、いわゆる七夕。

彦星が綱吉で織姫が雲雀

「今日は七夕ですね、雲雀さん」
窓の外を眺めつつ嬉しそうに言う綱吉。
「あの、彦星が仕事をサボるっていうことをして織姫と引き離された自業自得の話ね」
僕が興味なさげにそういえば綱吉が不満そうに口を尖らせる。
「そんな夢のない話にしないでくださいよ」
「だって実際にそうじゃない」
くすくす笑っていると綱吉がふと言う。
「もしも、俺たちが彦星と織姫になったらどうなるんですかね?」
「どっちがどっちになるわけ?君は織姫?僕が彦星?」
そういうと少し悩んで綱吉は言う。
「でも、雲雀さんは仕事とかちゃんとしそうですよね」
「じゃあ君が彦星だ。ちゃんと仕事してよね。しっかり働けよニート?」
からかうように言うと綱吉がむっと拗ねる。
「俺だって仕事くらいしますー大体例えばの話なんですから!」
ソファにもたれかかって不満そうに眼を泳がせる。「僕の話だって例えばの話だよ」
やっぱりからかうように言う。
「雲雀さんの言い方は異様に断定的なんですよ」
「じゃあそうならないってこと、証明すればいんじゃない?」
少し思案したのち、綱吉が頷く。
「………頑張ります」
僕は満足気に笑う。「うん、頑張れ」
「でも……遠距離って、やっぱり辛いんでしょうかね?」
「さぁ、実際そうなったことないし。それに僕たちの場合ああはならないでしょ」
彼の方も見ずにそういうと少ししょんぼりした声色で帰ってくる。
「さらっと倦怠期宣言ですか?そうなる前に別れるっていうことですか?」
余りに下らない心配になんだかおかしくなり声を出して笑う。
「雲雀さんそれ酷いですよー…」
「大丈夫だよ僕、泳ぎは得意だから君と引き離されそうになったら泳いで会いに行ってあげる。で、時々じゃんけんで会いに行く方を決めよ」
僕がそういうと、綱吉は少し目を瞬かせた後満足そうに笑った。
「なんだか、それはそれで楽しそうですね」
「やっぱり君って単純だよね」
7月7日。織姫と彦星が会えたかどうかは知らないけど、雨だろうがなんだろうが僕から会いに行かなきゃね。
          -fin-

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