おやすみなさい(ムクツナ)
まぁ友人が友人宅に来てお泊り会、なんてよくあることだ。
そんな感じで今、僕の家にはなぜか沢田綱吉が来てる。

Good night!

きっかけはそんな大したことはない。
ちょっとひょんなことから遊びに来てまぁ流れで泊まってくことになった感じ。
友達としては近く、恋人には遠い、そんな二人がなぜか一つ屋根の下で寝食を共にしてた。
僕はまだ彼を意識はしていないのは確かだ。
そんな趣味は全くと言ってないからである。
まぁそんなことも夜になったらどうでもよくなってしまったのだが。

夜。
「んじゃ、骸おやすみー」
同じような布団を並べて亜麻色の髪の少年がんーと腕を伸ばしリラックスしながら声をかけてくる。
「はい、ではいい夢を。おやすみなさい」
僕はそういって目を閉じる。
だがいつもは横に何もないのに今日は人の気配がしてどうにも寝つけない。
そして沈黙がしばらく続き息苦しくなり寝返りを打ち彼に背を向ける体勢で落ち着く。
さて寝るか、と意気込んだ時背中越しにささやくような声がする。
「骸、もう…寝ちゃった?」
あまりに小さいので気のせいかと思ったが確かに声がした。
起きています、というとまるで声をかけてもらうのを待っていたみたいで嫌だ。
でも寝ていないのに無視するのもなぁ、とどう返事をしたらいいのか内心で悶々と考えあぐねていると、「寝てる…よなぁ」とまた声がした。
そして少しだけ腕が腰回りに伸びてきた。
背中に当たる彼の額。
やけにあったかく感じたのは人のぬくもりを知らないからではないと思う。
そして、「好き」と消えそうな声で彼が言う。
一度ぎゅ、と抱きしめられた後すやすやと寝息が聞こえてくる。
一人起きたままの僕は眠気もぶっ飛ぶくらい目が冴えて非常事態だ。
彼が今何を言ったのかは理解しているつもりだ。
でもまさか、ねぇ?
冴えた頭でぐるぐると考える。
これからどう接すればいいのか、寧ろ今の状況をどうすればいいのか。
あぁ、今日は一睡もできなそうだ…僕は混乱する頭の中そんなことをぼんやり思った。
         -fin-

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あきゅろす。
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