アイシテル(骸雲)
「ねー骸ー」
僕はソファにもたれかかりながら窓際で読書に勤しむ藍色の少年に声をかけた。
声をかけられた骸はどこ吹く風で僕の方を見向きもしないんだ。

ルテシイア

「ねー、ナッポー」
ちょっと言い方を変えてみた。
若干の地雷だけどこっちを見てもらうためだ。仕方ないよね。
「南国果実と一緒にしないでください」
ほら、案の定不機嫌そうな顔してこっちを見てくれた。
単純すぎる彼を可愛いとも、やってやったと嬉しくも思い肩をすくめ笑う。
「何がおかしいんです」
真面目な顔で眉根を寄せて言ってくる骸。
「んん。単純だなぁと思ってさ」
小さく笑いをこぼしながら骸に言えば大きくため息をつかれる。
「で、なんでわざわざ呼んだんです?」
こっちは読書してるというのに、と文句を言われる。
「んー、好きって十回言って」
天井を見上げながら僕は何気なく言う。
骸は驚いた様子もなく(面白くない)本に目を向けつつ言う。
「好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き、はい言いました」
こっちも見ずに好きもあるかバカとか悪態をつきながら間髪を入れず骸に言う。
「じゃあ僕のことは?」
どうせ「バカですか」くらいしか言わないんだろうな。奇跡が起これば言って好きかな、とか鼻っから期待してない僕。
「愛してますけど」
本に視線を向けたまま、さらっとこぼす。
………何言ってんだこいつ、じゃなくてマジか。
言われたことを暗唱して、頬が熱くなる。
「……ばーか」
「振ってきたのはそっちの癖に」
骸がさっき僕がしていたように肩をすくめながら笑う。
なんだか一本取られたようでイラッと来たから仕返ししてやろ。
「ねぇ骸」
相変わらず憎たらしい顔で笑ってる骸にもう一度仕掛ける。
「なんです」
何も気づいてない骸に内心ガッツポーズと勝利を確信しながら、満面の笑みで僕は言う。
「本、逆さだけどどうしたの?」
僕がそう指摘した途端骸がわたわたしだす。
「骸だって動揺して照れてんじゃん」
僕がそういうと本の向きを変えながら「あ”ーうるさいです」と骸が唸った。
          -fin-
ただそういうのが書きたかっただけ。山なしオチなし意味なし!←

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