暇潰し(白蘭と綱吉
「まぁ所詮長い暇潰しだ。遠回りに回り道、なんだって付き合ってあげるよ」
そうあくまで善人のような笑顔で、善人のような台詞を口にした。

暇つぶし

白い菓子に手を伸ばしながら笑う。
「結局最後はボクら、死んじゃうんだよ。地獄とか天国とかに行けるとは思わないし行ったところで記憶も何もないからどっちでもいいんだけどね」
両手を挙げて、軽く笑う。
「長い生涯なんだよ。生まれたときが始まりで人によって生涯の長さは変わっちゃうけど死んだら終わりって考えるのが一番わかりやすいと思うね」
もう一つ、また一つと菓子を口に放り込む。
「結局死んじゃうって言う結果が同じなら遠回りして少しでも長く、楽しく生きたいって思うのは普通じゃないかな?たった一年の命でも百年の命でも」
菓子に向けていた視線を上げる。白蘭の前では悩み耽るような姿勢で座り、あごの下で手を組んでこちらを見る青年がため息を吐く。
「その暇潰しが、これだっていうのか?」
よく見ると青年が腰掛けるのは人だった。組んでいた手を離し、悠々と足を組む。
「これが暇潰しというなら、お前はよっぽどの奇人だ」
「それに座る君も十分に奇人の素質はあるよ」
皮肉に対しての皮肉。白蘭はまたくすくすと笑い詭弁を述べる。
「神頼みとかそういう信用なら無いものに必死に縋りつくよりはこうやって自らの敵自らで薙ぎ倒すことは大切だと思うけどね。それには申し訳ないけどボクの長い人生の一時の暇潰しには十分だったよ。でもそろそろ飽きちゃったんだよねぇ。こういう暇潰しに」
青年の座る椅子と化した物体に視線を向けつつ、ため息をつき視線を流す。青年は後ろに反るように白蘭に言う。
「ようやく死ぬ気になったか?近道の手解きくらいはしてやってもいいけど?」
ナイフをすっと取り出し白蘭に向ける。参った、と言わんばかりに首を振りながら笑う白蘭。
「飽きては来たけど君を倒してからじゃないと、戦ってからじゃないとラスボスは倒れないよ。それまでは近道しないって決めてるんだ」
眉を顰めて、憎そうに青年は言う。
「結局逃げじゃないか。俺が死ぬまで、俺を殺すまでお前は生きると言うんだろ?心中でもする気かい?」
「あぁ、それもいいかもね。君の今の目標はボクを殺すことだろう?二人仲良く心中、中々いい考えだね」
「実際にやってみるかい?」と白蘭が綱吉の持つナイフにそっと触れる。
ナイフに添えられた手を見て綱吉が一瞬眉を顰める。
「やっぱり俺はてめぇが嫌いだよ、白蘭」
綱吉が鼻で笑うようにナイフに力を加える。
「あぁ、それには全く同意だよ。ボクも君が大ッ嫌いだ」
白蘭もニコニコしながらナイフを握る力を更に強くする。
ぽた、ぽたと滴り始める血液。
ニコニコと笑いながら見詰め合う。
「「(あぁホント、死ねばいいのに!!)」」
そう願っても、絶対に死んでくれないとはわかってる。
だからこそ、寝首をかくために長い暇潰し、遠回りをしてみよう。
         -fin-
「君も長い時間生きるのは暇だろ?暇潰しになってあげるよ」
「お前で暇潰すぐらいなら、その辺で時間潰した方がいい」
「君、そういうところ可愛くないよねぇ」


なんかちょっとスレたツナと憎たらしい白蘭が好きです。お互いに嫌いあってる感じがいいかも。

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