お家に帰ろ!2(骸×ツナ(小)×ツナ)
可愛い弟が、でかい中学生に連れられて泣きながら歩いているのを遠目ながらに見かけた。
駆け寄って行くにも遠くて、付き合ってた彼女も一緒にいたから、俺は可愛い弟とでかい中学生を見送ることしか出来なかった。
結局、その日その彼女とは別れてしまったわけなんだけど。

ただいまマイハウスおかえりにいちゃん

「ただいま」家の扉を開ければ、母さんの「お帰り」の声と可愛い弟の小さくて元気な足音。
「にいちゃんお帰り!!」
きらきらした笑顔で俺を見上げツナは俺にお帰りをいう。そんなツナの頭を撫でて、「ただいま」という俺。そのまましゃがみツナに目線を合わせる。
「あ、そうだツナ。さっき…」
「あ、お兄さんですか?」
さっき誰か中学生といた?と聞く途中で、さえぎられる言葉。上から聞こえてきた聞き覚えのない声に疑問を抱きながら顔を上げると、精悍な顔付きをした青年がいた。
「(あ、さっきの中学生に似てる)」
頭の隅っこでそんなことを考えて、とりあえず「あぁ、はいそうだけど…」とだけ答える。
「あのね〜、さっきツッ君迷子になったの。母さんも探してたんだけど六道君が付き添っていてね、今日夕飯一緒に食べましょってことになったの!」
「母さん、色々すっ飛ばしすぎてワケ分かんなくなってる」
はは、と笑いながら立ち上がり「六道君だっけ?ツナが迷惑かけたみたいでごめんね。ありがとう」と伝える。やっぱりさっきの中学生は彼みたいだ。
「あ、いえ全然…。ところで、あのー…お兄さんっていくつなんですか?ひょっとして中学生だったり…?」
おずおずと質問してくる六道君。よく聞かれる十八番の質問だ。
「んー、はずれ」
「だからー!にいちゃんはーこうこうせいなのー!!さっきも言ったのにー!むくろのわからずや!」
「あ、いえ別にツナ君を疑ってるわけじゃないんですよ、ただお兄さんがあまりに若いもので…」
からかうような笑みで六道君に言えば足元からツナの抗議の声がする。どうやらツナは仲良くなったばかりの人に兄を説明する習性があるみたいだな、とぼんやりと考える(前は腕章つけた変わった人に、その前は眼鏡の赤髪の人にあることないこと俺の紹介をしたらしい。)
六道君(下の名前は骸というらしい。変わった名前だ)はツナに必死に弁解する。中学生が5歳児に必死に謝ってるところはなんだか微笑ましい。つい、くすくすと笑えば六道君が目を瞬かせて見てくる。
「あ、ごめんね、六道君。ツナが随分懐いてるみたいで」
「あ、いえそんな…」
「にーちゃん!ゲームしよ!むくろも一緒にゲームするって!やろー!」いつの間にか俺の足に引っ付いてねだってくるツナ。
「ゲームー?また綱太兄に叱られるよー?いつも怒られるの俺なんだからなー?わかってんのか?」
「こうたにーちゃんは怒んないよ!いいからー!やるのー!!」
「ったく…六道君もやる?」
渋々ながら了承し、頭を掻きながら六道君にも誘いをかけると六道君は困ったように視線を巡らせて「あぁ、はい」と短く返事をする。と、唐突に震えるケータイに一気に現実に引き戻される。
「っとタンマ。ツナ。やっぱ俺今日はゲーム駄目だわ」
「えー!なんでー!!!」
「思い出したけど課題終わってないんだよ…くるもみ先生に催促されっぱだしメール大量に着てるし…うっわこれストーカーの域だよ。あの人暇だな」
さっきから忙しなく震えるケータイを取り出しメールを見る(大半がくるもみ先生。5分おきによこしてる辺りが大分暇人だ。)。あからさまにテンションが下がっているツナに悪いなと思いながら、課題をどうするか考える。最終的には兄貴にやってもらおうか、なんて人任せなことも考えて靴を脱ぐ。
「さ、とりあえず部屋入ろう。最終的に俺抜きでゲームやっていいから」
今日は六道君がいるから大丈夫だろ、なんて適当なことを言って階段をのぼる。それから六道君にゲームのやり方を教えてツナと六道君はゲームに夢中になって遊んでた。俺はただひたすらくるもみ先生からのエールを5分おきにもらいながら課題に取り組んだ。
「………終わんない」
机に突っ伏して、弱音を吐き始める俺。時計を見たらまだ30分も経っていない、のにノートは真っ白なまんま。背中越しに聞こえるツナたちの騒ぎ声に混ざりたいなんて思い始めてきたもんだから、やっぱり俺は駄目ツナだなーなんて考える。
「うあーそもそもこんなのやらせるほうが間違いなんだよーくるもみのアホー」
そんなときに震えるケータイ。内容は「進んでいるか。明日までに提出しろ」。あの先生はヒントも与えてくれないのか。パタンとケータイを閉じてまたノートと向き合うけどさっぱりわからない。何度目かわからないため息をつくと、脇から声がした。
「これ、課題ですか?」
「あ、うん。そう。明日までなんだけどさっぱりでさ」
「ココ、この公式じゃありません?」
「え?あ、ホントだ。すごいね六道君!頭良いね!」
やっとノートにひとつ答えが入ることに安心し、我ながらアホみたいな顔(だったと思う)で笑う。
「………いえ全然…」
少し困ったように視線を反らす六道君。ついでついでと六道君に問題を聞きまくる俺。中学生に教えられる高校生。惨めなんかじゃない。わかればいいんだ。くるもみからのメールを受け取りながら、心の中で言い聞かせた。
「終わったー!!!六道君ありがとー!!俺一人だったら絶対終わらなかったよ!それにしても六道君凄いね!中学生なのに高校の問題わかるんだもん!」
「にーちゃん終わった!?ゲームやろ!」
「よーし!負けないかんなー!」
ツナからの誘いに思いっきり乗る。六道君もツナの隣に座って、ちょくちょくアドバイスを入れ始める。と、そこで震えるケータイ。くるもみ先生か。終わった!と写メでもつけて送りつけてやろうかな、とか考えながら受信ボックスを開く。するとそこに兄の名前。内容は「獄寺に捕まった。遅くなる」相変わらず綱喜兄は獄寺に愛されてるみたいだ。そこでもう一通。内容は「ましまろ野郎に絡まれた。撒くのに時間かかる。先飯食ってろ」。こちらは綱太兄。こっちはこっちで大変らしい。
「綱喜兄に綱太兄遅くなるってさ」
「えー!今日もなのー!?」
「獄寺先輩と白蘭さんに捕まったんだって。先にご飯食べてていいってさ」
「じゃあじいちゃんは?」
「連絡着てないけど…多分今日もGさんと一緒じゃないかな。残業多いみたいだし。もうご飯、食べちゃおっか」
「えー!まだゲームする!」
「ご飯食べてからな。ほれ、行くよ。六道君も行こう」
「あ、はい」
ゲームをコンテニューの画面にして、階段を降りて食卓につく。母さんに兄さんたちが遅れると説明して、ご飯を食べてお茶をした。そういえば六道君なんだかんだ家にいるけど家は大丈夫なんだろうか。
「そういえば六道君、お家の人には言った?」
「え?」
きょとんとした顔でこちらを見る六道君。こうしてみるとかっこいい顔立ちしてるなぁと思う。っと、そうじゃないそうじゃない。
「お家の人、心配したりとかしてないかな?」
「あぁ、大丈夫です。僕の家放任主義でして…心配といえば妹たちですが父よりしっかりしてるので食事関係は大丈夫です。自分たちで作ってると思います」
「あれ、お母さんとかは?」
「いません。父も血が繋がってるかどうか怪しいんですけどね、父しかいません。後は兄一人に妹一人です」
「あ、そうなんだ…」ちょっと、まずいことを聞いてしまったかな、と反省。
「むくろ!じゃあまた来てよ!ゲームやりたい!」しんみりした空気でツナが元気に六道君にせがむ。
「あら、それいいわね〜今度はぜひ妹さんも弟さんも連れていらっしゃい!大歓迎よ!」
母さんがツナの言葉を拾い、朗らかに笑う。確かにそれには賛成だ。
「うん、六道君ぜひおいでよ」
「あ…はぁ…」
ちょっと困惑したように頷く六道君。そこで玄関が開く音がして、「ただいま」の声がする。あの声は綱太兄だ。
「あら、綱太おかえりなさい」
「ただいま。ツナ、いい子にしてたかー?ってあれ、客?」六道君に気づいたのか首を傾げて母さんに聞く綱太兄。
「そうなの!六道骸君よ」手を合わせた後六道君の紹介をする母さん。
「なーんかどっかで見たことある顔してんなー…綱吉の友達?」頭を掻きながら俺に質問してくる綱太兄。確かに、どっかで見たことある顔だよなぁ。
「ちがうよ!つなのともだち!!」ツナがむっと口を引き結んで綱太兄に反論する。
「あ、ツナの友達か。そっか〜」ツナの頭を撫でて、優しく笑う。いつも俺に怒るときは怖いくせにこういうときだけ優しいんだから。
「綱吉。あのましまろ野郎ツナに会わせろって言って来てるんだがどうすればいいと思う。とりあえず地獄巡らせればいいのかな」真剣な問いかけ。
「綱太兄、怖いこと言わないで。綱太兄捕まるよ?どうすればって会わせていいんじゃない?ツナ結構懐いてなかったっけ?」
「それが気に食わねぇんだよ。ましまろ野郎の癖にツナに好かれやがって。ったく憎たらしいったらありゃしねぇ。あー思い出したら腹立ってきた」そして本気の舌打ち。
綱太兄は上司である白蘭さん(こちらも変わった名前だ)が嫌いらしい。なのに相手からは好かれているから驚きだ。
「そういや、お前今日彼女どうしたんだ?いつも今頃の時間電話してんだろ」
「あー、綱太兄そこ聞いちゃう?今日、別れたんだよね。好きな人が出来たんだって」頬杖をつきながら、ため息をつく。
「あら、別れちゃったの?あの子結構気に入っていたのに」と、お茶を飲みながら目をぱちぱちさせる母さん。
「最近多いな。お前、付き合ったり別れたり」馬鹿にするような笑みで
「俺だって好きでこうしてるわけじゃないよ…ただ相手側がさ…」はは、と軽く笑ってみせる。
「へぇ…あ、そうだ。骸とか言ったっけ?お前家どこ?送ってく」車のキーを指先でくるくる回しながら骸君に問う。
「あ…すいません。お世話になります。では、そろそろ帰ります」
「えー!むくろかえるの!?もっと遊ぶ!」とツナはごねる。骸君は困ったように笑う。
「こら、骸君が困ってるだろー、また一緒に遊んでもらえばいいんだから、な?」
「はい、またツナ君と遊びに来ます」
そう、骸君が優しく笑うとツナもごねるのをやめる。急にごねるのをやめたことに驚いたのか骸君がこちらを見てくる。
「ツナ、ホントに骸君になついてるね」と小さく言って笑ってみると骸君が優しくはにかんだ。
                -fin-
前書いた小説の続き。一応相関図としては

沢田家 奈々 ジョット(年齢不詳) 綱太こうた(27) 綱喜こうき(21歳) 綱吉(16歳) ツナ(5歳)
獄寺家 ビアンキ G(年齢不詳) 隼(21) 隼人(16) 
六道家 スペード(年齢不詳) 無禄むろく(21) 骸(14) クローム(13)

↑仲良し?だけど息子たちは犬猿の仲(クロームと入江は除く)
雲雀家 白蘭(29) アラウディ(年齢不詳) 恭弥(年齢不詳) 正一(13)
ジョットとスペードとアラウディは同期。ジョットは誰とでも仲良いけどスペードとアラウディは仲悪い。基本ジョットアホっぽい。天然みたいな。
沢田家と雲雀家はまぁまぁ仲良い。
続きは期待せんで下さい。気が向いたら書きます。


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