不満(ザンツナ
何が不満だ?
この世界で2人になれば否応なしで俺が欲しくなる。
---なぁ、そうだろ?
そう、目つきの悪い男は蔑むように彼を見上げながら言い放った。

不満満!

「今は他の奴らに目移りしてるかもしれねぇ。だがそれがどうした?」
ふん、と鼻を鳴らしながら頬杖をついた手を手摺りに降ろす。
「どうって………だから、お前とは…」
「だからなんだ?カンケェねぇだろ」
悠然とした態度のままつらつらと言葉を紡ぐ。
「てめぇはみっともねぇ面ぶら下げて俺を欲しがれば良い。それ以外に何の答えがある?」
「だからお前とはそういう関係にはなれないって………」
椅子に深々と腰をかけている男を困ったように見下ろしながら頬をかく。
頬をかいている小柄な青年に向け、手元にあったペンを投げつける。
ペン先が青年に一直線に向かっていく。青年は「げっ」と短い声を上げて赤黒い絨毯に伏せてペンをよける。
そして、投げつけた男はいつの間にか立ち上がっていたらしく長身の体がまた小柄な青年を睨みつける。
より一層鋭い視線で。
一方の睨みつけられた青年は絨毯と向き合ってる状況で気づかない。
そして、小さな体を起こそうとした瞬間---。
長身の男が小さな青年を思い切り踏みつけた。
「んぐッ……!!」
背を思い切り踏まれ再び絨毯とキスをすることになった青年は胸が圧迫されて息が出来ないのか、苦しそうに足掻く。
それをまた冷たい視線で見下ろしながら冷たい声色でまた言い放った。
「何が不満だ?俺が欲しくなるだろう、なぁ?」
ぐりぐりと踵で踏みにじり、確認するように小さく小首をかしげる。
一方の青年は苦しそうに眉を顰める。
「ぐ、…離れろ…!ザン…ザスッ………!!」
やっとの思いで絞りだした声を聞いてザンザスと呼ばれた男は足を背から降ろし、腰を下ろして髪の毛をつかむ。
「俺が欲しいと言え」
そう耳元で囁いた後、乱暴に口付けられる。
「ふっ…」
一頻り口付けを交わした後手を離して立ち上がり椅子に座る。
「お前に拒否権はねぇ。俺だけを求めてろ」
そうとだけ言って、また無言で青年をにらみつけた。
睨みつけられた青年、綱吉は一度ため息をついて苦笑いを零す。
「………はは、相変わらず勝手だなお前」
何処か諦めたような笑みを浮かべて、絨毯の上で座り込んだ。
                -fin-
世界に二人のみにならなくても無理やりにでもお前は俺のものに。


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あきゅろす。
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