何だか、マクラが硬い。 そう感じて倦怠感と頭痛のする中目を覚ました。 布団とはまた別の温さがある。 「よぉ、起きたか。Goodmorning」 「っ!政む…っ!?」 目が覚めると上半身裸の政宗に腕枕をされていた。 思わず叫んでしまった自分の声が脳に響いて額を押さえる。 「…っう〜;頭イテェ」 「Oh.そりゃ二日酔いだな」 「そういや、昨日飲んだんだっけ…」 昨夜の飲み会を思い出して眉を寄せる。そして、ようやく自分の格好に気が付いた。 「な゛っ、何でハダカなんだ俺!?;」 自分が何も着ていないコトにパニくる日向。その慌てぶりを眺めて可笑しそうにしている政宗。 「覚えてねぇのか?」 意地悪く片方の口端を上げる政宗を見て、日向は冷や汗をかく。 「き、昨日は…;;」 日向は頭を抱えて必死に昨夜の回想をした。 日向はそんなに酒に強くない。 昨夜もチューハイやカクテル数杯で酔っ払って、飲み会で騒いだ。それから、ほとんど習性で自分の部屋に帰ったのだった。 「たらいま〜」 「日向、遅かったな」 玄関で帰りを待っていた政宗は多少責めるように迎えた。 「おー、政宗ぇv」 日向はにへらと笑って政宗に寄りかかった。それを受け止めた政宗はアルコールの匂いを感じ取った。 「日向、お前酔ってんのか…?」 「コンパあったんだぁ。他所の大学から来た娘が可愛くてさぁ〜vv」 緩んだ表情で嬉しそうに答える日向に、政宗は額に血管浮かせた。日向は自分で立つ力なく政宗に支えられたまま、余計なコトまでべらべらと話す。 「もう合コンみたいなもんでさ、カラオケで一緒に歌ったりしちゃってぇ…」 へへぇ、とニヤける日向に反して政宗は不機嫌さを増す。 「……日向」 「ふえ…?」 ドスを効かせた声で呼ばれて、顎を掴まれ上向かされる。酔いに頬を火照らせとろんとした眼差しで日向は政宗の一つの眸を見返す。 「…んぅ…っ」 訳も分からず口を塞がれる。 ただ重ねられるだけで済まず、乱暴に口内を貪られる。窒息しかけたところでようやく解放された。 「…っは…、政宗…?」 頭が回らず、なすがままにされた日向は舌足らずな声で問うが、政宗は答えずまた顔を近付けようとする。 「………オイ(怒)」 しかし、今度は手で防がれた。 政宗が手首を掴んでそれも出来なくし、再度顔を近付けるとイヤイヤと日向は顔を逸らした。 「テメェ…。日向、こっち向け」 「やだ…、にげぇもん…。…バコ、きらぃ〜…」 駄々っ子のように首を振る日向。ピキリ、と何かが音を立てた政宗。 「〜〜〜っっ!犯すぞ」 低く脅しかけて服の中に手を忍ばせたが、日向は無反応にだらりと政宗の腕に身を委ねていた。 「…日向…?」 「ぐぅー…」 「この状況で寝るか…?」 完全に眠った日向に政宗は腹を立てた。 苛立ち収まらない政宗はしばらくして何かを思い付き、狡猾な笑みを浮かべた。 「――たしか、居酒屋で酒飲んで、カラオケ流れ込んでソコでも飲んで………;;そっから全然覚えがねぇ…俺どうやって帰ってきたんだ…!?」 ウンウンと唸る日向を愉しげに眺める政宗。 「俺、脱ぎグセないはずだし…;;」 「マジで覚えてねぇのか?お前から誘っといて…」 政宗が態とらしく嘆息してみせると、ざぁと音立てて日向は青ざめた。それを見て政宗の笑顔が深くなる。だから、余計に日向の恐怖を煽った。 「さ、誘うって…!??;;」 「聞きたいか?」 「いいっ!聞きたくねぇ!!;」 「遠慮するなってv」 「イヤだぁ!!;;」 耳を両手で塞ぐ日向に、嬉々として無理矢理聞かせようとする政宗の姿はまるで悪魔のようだった。 質の悪い政宗の報復によって、それからしばらく日向は悩まされ、からかわれ倒した。 |