「明日羽ちゃんっていかにも『女のコ』って感じだよね」 友達にも好きになった男のコにも必ず言われた科白。 自分だって女のコらしくなりたいからそう言われると嬉しい。でも、反面重くなる心。 だって、私は―― 「きゃあ、佐助さん!洗濯は自分でするって言ってるじゃないですかっ!///;」 「えー、でも俺の分のついでだし」 「洗濯していただけるのは助かりますが、お願いですから自分のだけにしてくださいっ!困ります///;」 外見が苦手そうなタイプに見えるのに佐助さんは洗濯やら家事を進んでするような世話焼きさんだった。親切なのは判るけど、色々と困るコトもある。 「下着のコトなら出来るだけ見ないようにしてるし…」 「い゛、言わないでくださいっ!佐助さんのばかぁ!///;」 「ゴメンゴメン。じゃあ、下着以外なら洗ってもいい?」 その方が水道代や洗剤が節約できるし、と現実的なコトを提示されると首を横に振れなくなる。 この人、本当に昔の方なんですか。洗濯器や掃除機を簡単に使えるようになって、買い物のシステムも一回で覚えちゃいました。 「あ、そろそろいいかな?」 「何がですか?」 佐助さんは忍者なせいか動きが素早い上に静かで、私の横をすり抜けて台所に行ってしまいました。 後について行くと、お鍋をオタマでかき回していました。ちゃんとエプロンも着けて。 開けた蓋からいい匂いが漂ってきます。 「佐助さん?」 「明日羽ちゃん、ちょうどよかった。味見してくれない?ポトフってゆうの作ってみたんだ」 手招きされて近寄るとスープを少し入れた小皿を差し出される。適度に冷まされたそれを恐る恐る口に運ぶ。 「…おいしい」 「よかったぁv本があるって言っても現代の料理ってまだよく分からなくてさ」 数も多いしね、と困ったように言いながらと表情を綻ばせる佐助さん。 「………ズルいです」 「え?」 私の胸にあるこの感情は嫉妬。すごく悔しい。 どんなに私が頑張っても『女のコらしい』のは見た目だけで。 なのに、佐助さんは料理も洗濯も掃除だって何でも上手に出来る。初めて作った料理だってこんなにおいしくて。 「私は本があってもこんな風に作れないのに…ズルすぎますっ、佐助さんなんか嫌いです!女の敵ですぅっ!」 「ええっ!?明日羽ちゃん!?;;」 泣き出す私に狼狽える佐助さん。 佐助さんが悪いワケじゃないのは解ってます。私が一方的に妬んでひがんで。 でも、だけど。 可愛いモノや服が大好きで、お菓子作りとかも好きで。将来は好きな人の可愛いお嫁さんになりたいのに。 好きなのに、したいのに、上手に出来ない。 「私だっておいしいご飯作って、お兄ちゃんやお姉ちゃんに食べさせてあげたいのにぃ…っ」 「ちょっ、ストップ明日羽ちゃん!;これそんなに難しくないよ!?」 「…え」 「野菜とベーコンとかをコンソメと塩胡椒で煮ただけだから、明日羽ちゃんだって作れるよ?」 「ほんと…?」 「うん。俺様、作り方覚えたから明日は一緒に作ろう?一緒に少しずつ覚えていこうよ」 ね?、と頭を撫でて微笑まれる。とても優しくて安心した。 「上手く出来たら、日向さんや真白ちゃんに持ってってあげよ。きっと喜ぶよ」 「はい…」 お兄ちゃんたちが喜んでくれると嬉しい。大好きな人たちの笑顔が見たいから頑張ります。 佐助さんと一緒なら心強いです。 |