サークルの仲間に飲みに誘われた。 「なぁ、飲みに行かないか」 「え…」 俺はすぐに頷けなかった。 浮かんだのは我が家にいる厄介者。 (俺が遅く帰ったら家で何するか判んねぇからなぁ;) だから、出来るだけ早く帰りたい。第一、酒好きのアイツを差し置いて俺だけ酒を飲んだりしたら文句必至だ。 「悪ぃ、やめとくわ」 酒は飲みたくないワケじゃないし、大勢で騒ぐのも嫌いじゃないがアイツを放っとくことは出来ない。 代わりに酒を買って帰ろうか。 (ワインとかがいいかな?でも、アイツ意外に日本酒とかも好きだし…) 「えー、最近付き合いワリィぞぉ」 つらつらと考えていた思考を友人の文句で遮られる。 (…って、俺は何であんなヤツのコト考えてんだ;) はっと我に帰って自責する。 「私も用事があるから遠慮するわ」 「え、先輩もですか?」 サークルの美人な先輩が飲み会を断った。付き合いのいい人だから意外だった。 「猫に餌をやり忘れてね。細いコだから一食でも抜くの心配なの」 「そうですか…」 「日向君は何で?」 「え゛…俺は放っとくと何しでかすか判んねぇからっ;」 そうだ。だから、いない時まで気にしないといけないんだ。 「あら、やんちゃな猫(コ)なのね」 「そんな可愛げのあるヤツじゃないですよ?イタズラ好きで俺ん家めちゃくちゃにされますから」 「ふふ、元気がいいのね。私のトコロは大人しすぎるぐらいだから、分けてほしいわ」 「そっちの方が羨ましいですよ。可愛げあって」 「じゃあ、一度会ってみる?きっと日向君のコト気に入ると思うわ」 「何でですか?」 「ひなたぼっこが大好きなのよ」 「そうなんですかー」 先輩が綺麗に微笑するから俺もつられて笑い返した。アイツは猫なんて可愛いモンじゃねぇ、と思いながら。 それから飼い猫というコトで、先輩にアイツの愚痴を聞いてもらったり相談にのってもらうようになった。 判りますよね? 先輩がだれか。 別に二人とも家畜扱いしてる訳じゃありませんからね。 |