impatient
5
陽高様が震えているような気がして、そっと、その背中に手を添える。
「ずっと…謝ろうと思っていた。あんな形で抱いてしまって…。怖がらせる事も分かっていたのに。」
ごめん、と再度謝罪の言葉を口にする陽高様。
そんなつもりで言ったわけじゃなかったのに。
「陽高様、抱いて…下さい。」
憂色を漂わせていた陽高様は、突然の申し出に驚いたようで、体と体の間に空間を作った。
そんな陽高様に向かって、心からの微笑みを見せた。
「私、陽高様とひとつになれる瞬間、大好きです。」
「紗奈…。」
言わなければ伝わらないことだってある。
恥ずかしがってないで伝えていれば、陽高様を不安にさせることもなかったかもしれない。
陽高様は、それまで固かった表情を和らげ、頭を包み込むように抱きしめてくれた。
「紗奈は本当に、俺を喜ばせるのが上手いな。」
首筋を吸われる感覚。
ピクンと反応してしまうと、陽高様は暖かく笑った。
「それに、俺を煽るのも上手い。」
「どういう……あっ」
私の質問は、耳を甘噛みする唇に消されてしまった。
陽高様は私の首筋を舌で伝いながら、背中のファスナーを降ろし、肩と腕を抜いていく。
露になったであろうブラジャーのホックも外され、するすると腕から抜かれた。
外気に触れて寒さを感じる肌を両手で抱きしめると、陽高様は唇を離し、布団を掛けてくれた。
そのままベッドから離れると、換気のために開けておいた窓を閉めて戻って来る。
寒がった私のために閉めてくれたのだと、お礼を言おうと口を開いたら、陽高様は悪戯っぽく微笑んだ。
「紗奈の声が外に聞こえてはいけないからな。」
「……!」
多分両方の理由からなのだろうけれど、わざとそっちだけを言う陽高様に、赤い頬を膨らませてみせた。
「陽高様の意地悪…。」
「意地悪?紗奈は皆にいやらしい声を聞かせたかったのか?」
「ち、違います!」
「そうだな。俺も聞かせたくない。」
「きゃ!」
ぱっと掛け布団を捲られ、陽高様の目に裸の上半身を映してしまった。
「もう何度も見ているというのに…いつまで恥じらうつもりだ。」
「恥ずかしいものは恥ずかしいんですっ。」
「そうか。なら、もっと恥ずかしいことをしてやろうか?」
「えっ、きゃ…!ん…あ、ぁあ…」
両足首を掴まれたと思ったら、勢いよく広げられ、下着ごと秘部に押し込まれた。
陽高様の両手は塞がっているから、きっと舌だ。
そんな所に顔があると考えるだけで、体が熱くなる。
「ほら、紗奈。」
腰を撫でる手付きに促されるまま、腰を少し上げて、ワンピースと下着を取り去る事に協力してしまう。
「脚を開いて、紗奈の一番恥ずかしい場所を俺に見せてごらん。」
「む、むり、です…っ」
「無理じゃないだろう?」
私の腰辺りを指先でなぞりながら優しく微笑むから、それ以上頑なに拒否することもできなくて。
やっぱり思うのは、私は陽高様に弱いんだなあという事。
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