impatient
ハロウィンA
「純粋にイベントを楽しみたかっただけなのに…。それに、悪戯していいのは私の方ですよ!」
散々喘いだ後だというのに、紗奈は元気だ。
「悪かった。何でも好きなようにしてくれ。」
俺は、紗奈の楽しみを踏みにじった罪悪感と情事後特有の気怠さ、それと僅かな期待から、そう答えた。
「……では、いきます。」
少し声のトーンを落とした紗奈は、服を纏っていない俺の鎖骨辺りに、柔らかい唇を押し付けた。
こんな悪戯なら大歓迎だ。
紗奈の滑らかな腰に手を回すと、その手を掴まれ離された。
「紗…」
「たえてくださいねっ」
にこりと微笑む紗奈は可愛い…が、どこで覚えた。
俺がどのような状態になるか計算した上で巧妙に仕組まれた悪戯である。
紗奈が自ら考案したとしたら、俺はこの先紗奈の手の平で転がされる運命だろう。
どうせまた亜希の入れ知恵だ。
後でよく叱っておかなければ。
いや、褒めるべきか?
まあいい。
紗奈はまだ気付いていない。
結局は自分が辛くなるということに…。
――気付いていないのは陽高の方である。結局は紗奈の思う通りにしてしまう自分に…。
---Fin
2011/10/22
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