impatient 11 徐々に汗ばむ紗奈の横顔に軽くキスを落とした陽高は、名を呼んで自分の方に向かせた。 「紗奈。」 「ん、んふぅ…!」 深く口づけ合うと、紗奈の秘部からはじわりと蜜が溢れ出し、陽高自身をより締め付ける。 ――キスだけでこれ程感じるとはな。先が楽しみだ―― 妖しく笑んだ陽高は、枕にしがみついていた紗奈の腕を自分の背に回すと、一気に高みへと紗奈を連れていった。 「ぁ……っ!」 紗奈の内がうねりきつく締まったことで、陽高は息を詰まらせるが、次の瞬間にはより強く最奥を突き出した。 「!? ひゃあぁあっ!……も、だめ、で…っ」 「駄目じゃないだろう。本番はこれからだ。もっと楽しませろ。」 絶頂の時さえも声を出さなかった紗奈を責めるように、突きを弱めることなく、のけ反った首筋や耳元に噛み付くように愛撫する。 「ぁ、ぁあ…あっああぁ!」 「それでいい。」 紗奈が感じるままに嬌声を上げると、陽高は満足そうに額に口付けた。 より激しくなる陽高の攻めに、紗奈は何度も絶頂に達するが、陽高が止まることはなかった。 それが幾度となく繰り返され、極限まで性感を揺さ振られた紗奈は、涙を流しながら気を失った。 ――壊すように激しくて、癒すように優しい。そんな風にされたら、今までの自分を酷く惨めに感じて、だけど今の自分を好きになれる。いっそのこと、この身全て、陽高様の所有物にしてほしいとさえ願う…―― 「気絶するまで抱いて悪かった。体調に変わりはないか?」 「大丈夫、です。」 紗奈が目を開けると、陽高越しに見える窓の外は既に明るかった。 いつ眠ったのかわからなかった紗奈は、陽高の台詞で昨夜の行為を思い出す。 陽高は、顔を真っ赤にする紗奈を横目に、早朝持って来させた水差しから透明なグラスへ水を注ぎ、紗奈に手渡した。 「え、あ…ありがとうございます。」 水の入ったグラスを見て、紗奈は強烈な喉の渇きに、思い出したように気付いた。 グラスに半分以上入っていた水を一気に体内に流し込むと、陽高はおかしそうに喉で笑った。 「あれだけ喘げば当然だな。」 「……っ!」 むせそうになる紗奈の背中を、悪いと口にしながら擦る陽高だが、全く悪びれた様子はない。 落ち着くと、陽高は真剣な顔付きで、紗奈の頬に手を添えた。 「…もう怖くはないか?」 「………はい。」 紗奈が頷くのを確認した陽高は、そうかとだけ呟いて背を向けると、人知れず安堵の溜息を漏らした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |