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impatient


「いっ…!」

「…痛いか?ゆっくりするから我慢してくれ。」

「ふ…っ、はい…。」


快感に眉を寄せて奥へ進む陽高は、痛感に眉を寄せてシーツを掴む紗奈に気がついた。


「掴まっていろ。」

「は…い…」


陽高が紗奈の片腕を掴み、己の首の後ろに回すと、紗奈は両腕でしがみついた。

それを確認した陽高は、一気に最奥へと突き入れた。


「あ……っ!」


甘く甲高い声が陽高の耳元で響く。


――いつもは煩いはずの女の声が、熱苦しいだけの女の体温が、今日は何故こんなにも心地良いのだろうか――


陽高は疑問を感じながらも、本能の赴くままにただ紗奈の体を貪る。


疑問を持ったのは紗奈も同じだった。

――セックスって、こんなに気持ちいいものだったの?初めてじゃないから?それとも陽高様が上手だから?――


しかし二人はまだ気付かない。

自分の気持ちも、ましてや相手の気持ちなども。


「あっ、ああ…ん、ぁ…!や、だめっ…!」

「何が駄目だと?」

「ひゃ、あんっ…、なんかっ変なんです…ぁっ!からだ…おくっ…あぁっ…」

「ああ…。イくのは初めてか…。俺に身を委ねていろ。最高の快楽をくれてやる。」

「やっ、こ…わい…!」

「大丈夫だ。しっかり掴まっていろよ、紗奈…。」

「ぅ、あ…陽高さ、まぁ…っ!や、あ、ぁああっ………!!」

「…っ……!」


陽高は、絶頂により体を反らせる紗奈をきつく抱きしめ、薄い膜越しに欲望を放った。

二人は肩で息をしながら、そのままベッドに沈み込む。

危うく全体重を紗奈にかけてしまった陽高は、乱れた呼吸を抑えながら気怠い上半身を起こし、目を閉じて口で息をしたままの紗奈を見つめた後、額に軽くキスをして紗奈の内から自身を引き抜いた。

柔らかく触れられた感触に、紗奈がゆっくり目を開けると、映ったものはベッドの縁に座る陽高の後ろ姿。



「…どうした?」


声を掛けられて、紗奈ははっとした。

知らずのうちに陽高の背に手を伸ばし、白いシャツの裾をそっと摘んでいたからだ。


「いえ、なんでも…。」

「足りなかったか?」

「え?」


陽高は紗奈に覆いかぶさりながら、持っていたものをごみ箱に落とした。

頭を撫でるように紗奈の髪を梳く陽高は、それまで見せたことのない優しい表情で紗奈を見つめる。

一方の紗奈は、熱く赤面した顔で横を向くが、それは目の前の男に滑らかな白い首筋を見せ付ける結果となった。

陽高は微笑むと、首筋に唇を当て、そこに小さな証を残した。

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