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impatient


――だれ?

わたし、キス…されてるの?――



長い口付けの後、ぼんやりとした瞳で陽高を見上げる紗奈には、もう先程までの呼吸の乱れはなかった。


「紗奈、俺が分かるか?」

「陽…高様…。」


かわりに、その唇から零れる吐息は、戸惑いの色を浮かべる陽高を煽るのに十分なほど、艶を帯びたものだ。

しかし彼とて自制する理性は持っている。

今日は下がれと命じようとしたが、それより数瞬早く紗奈が口を開いた。


「先程は取り乱してしまい、すみませんでした。…あの、私…もう大丈夫、ですから。」


先の言葉は、上目に見つめる瞳に含まれていた。

しかしそれは誘うような目ではなく、必死に懇願しているようだ。

何かを隠すため、というよりは、ただただ仕事を真面目にこなしたい、迷惑をかけたくない、との一心であるように、陽高には思えた。


――何を強がっている。まだ顔色が悪いことは見てわかるというのに。しかし…――


「わかった。」


陽高は呟くと、紗奈の髪に手を差し込み深いキスをしながら、体重を掛け倒していった。


「んっ…」


――なんだか優しい…?遠慮、してるのかな。けど、大切にされているみたいで嬉しいかな、なんて――


青白かった紗奈の頬に赤みが差してきた頃、制服のワンピースに手が掛けられた。

白いエプロンと共に脱がされ、紗奈の体を隠すものは、全て取り払われてしまった。

無意識なのか、両腕を胸の前で交差させ、なるべく陽高の目に触れないようにする紗奈。


「隠すな。」

「恥ずかしいです…。」

「いいから見せてみろ。」


怖ず怖ずと手を退かす紗奈は目を強くつぶっていて、気が付かない。

優しく微笑んだ陽高に。


「可愛い。」

「えっ……んん!」


驚きのあまり思わず開けた紗奈の目に飛び込んできたのは、両胸の突起を手と口で愛撫する陽高の姿。

紗奈は、上がりかけた嬌声を、手の甲で抑えた。


「我慢するな。せっかくのいい声なんだ。もっと鳴け。」

「…ああ!」


大きな声を上げてしまったのは、不意に指を突き入れられたから。

そんな紗奈を、陽高はまた可愛いと言った。


――何で陽高様はこんなに恥ずかしいことをいっぱい言うの?可愛いなんて、嬉しいけどやっぱり恥ずかしい――


考える頭とは裏腹に、紗奈の体は過敏に反応し、それは次第に陽高を高揚させていった。


「紗奈…。」

「んっ………!」


啄むような口付けと共に、陽高は自身を紗奈の内へ潜り込ませた。

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