impatient
俺だけの
最近の俺の楽しみは、紗奈が会社まで迎えに来てくれる事だ。
本人は気付いていないだろうが、紗奈を見た瞬間に心が安らぎ、その小さな体を抱きしめれば一日の疲れが吹き飛ぶ。
紗奈の存在が、唯一の癒しだ。
「申し訳ありません。陽高様のお姿が見え次第お教えすると約束していたのですが、あまりに熟睡されていたので…。」
後部座席でぐっすりと眠る紗奈。
可愛い寝顔に、思わず笑みが零れる。
「このままでいい。起こさぬよう、安全運転で戻ってくれ。」
「畏まりました。」
紗奈の隣に乗り込むと、車はゆっくりと発進した。
夜遅くて起きているのが辛いだろうに、最近は殆ど毎日来てくれる。
どうしようもなく愛おしくて、眠る横顔にキスをした。
――それをルームミラーで見ていた独り身の男は溜息を吐く。
「……ふぅ。(こんな甘い陽高様を間近に見られるの、俺だけだろうなあ)」
---Fin
2008/02/15
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