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impatient

「んっんっ……ふぁ…あ!」


キスを続けたまま、陽高様は挿送を開始する。

私は生理的な涙を流しながら、それを受け止めた。

陽高様の、愛を。


「んっんっん…はぁ…っん…」

「……っは…紗奈…」


ずっと唇を塞がれたまま、喘ぐこともままならず、ただただ陽高様を感じる。


陽高様の額に浮かぶ汗。

手を回した背中の広さ。

何もかもが愛しい。



「紗奈…っ愛してる……」

「はい、私も…愛してます…っあああ!」



自分の限界を見た一瞬後、薄いゴム越しに陽高様の飛沫を感じた。


陽高様は倒れるように私に覆いかぶさり、ぎゅっと私を抱きしめた。

その熱も重みも、全てが私を幸せにする材料となる。



やがて徐にベッドを離れ、水の入ったグラスを持ってきてくれた。

礼を言って受け取ろうとするとグラスを遠ざけられ、陽高様の顔が近付く。

口を開くと、ぬるい水分が入り込んできた。


喉を鳴らして飲み込み、陽高様を見つめる。





「紗奈。」

「はい。」


その時、部屋の扉のノック音が響いた。

やましいことをしていたわけではないが、私はびくりと体を震わせた。

陽高様は小さく溜息を吐いて、ノックの主に声をかけた。


「入れ。」

「失礼いたします。」


陽高様は、私の素肌を隠す様に布団を首まで掛けてくれ、上半身裸のままベッドの縁に座った。


部屋に入ってきたのは、如月さん。

心なしか、陽高様の目付きが険しくなった気がする。


「紗奈様、例の物をお持ちいたしました。」


忘れかけていたが、にこりと笑った如月さんのおかげで今日の計画を思い出した。

はっとして上体を起こす。


「あ、ありがとうございます。」


すると如月さんは驚きの表情を浮かべ、顔を僅かに赤くした。

「失礼いたしました。」


その理由に私が気付いた時にはもう遅く、如月さんは金色のワゴンを置いて足早に去っていった。

ふかふかの布団のおかげで胸から下は見えていないが、露出した肩がそれまで何をしていたのかを語っているだろう。


「恥ずかしい…」

「彼は随分、初な反応を見せるな。」


クスクス笑う陽高様に、笑い事じゃないと心の中で毒づくが、機嫌が悪くなっていないことに安心しながら、衣服を身に纏った。

よかった。如月さんとの誤解は完全に解けたみたい。

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