Novels
KEYSTONE 2
夕食時ということもあり、待ち合わせの喫茶店はそれほど混み合ってはいなかった。
桑原が飲み物を注文しに行っている間、雪菜との世間話を何にしようか蔵馬が軽く思案を巡らせたその時だった。
「蔵馬さん…とっても素敵なピアス」
向かいの席から蔵馬の耳に目を留めた雪菜が、蕾の開くような笑顔で声をかけた。
「ああこれ…どうもありがとう」
咄嗟に返答に詰まった蔵馬がとりあえず礼を述べると雪菜は、
「氷泪石のようだけど…違うのですね。悲しい波動が感じられないもの。
不思議で温かで綺麗な色をしていて…
ああ、蔵馬さんのことをとても大切に思っている方からの贈り物なのですね」
と、まるで自分のことのように嬉しそうに言うので、思わず蔵馬もつられて同じ温度の笑顔を浮かべた。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!