忠実恋愛事情 嵐、到来 「俺、遠山嵐ってんだ!よろしくなっ」 確かに嵐が来るとは思ったが、本当に嵐が来た。 いや、名前が嵐なだけであって、この学園が狂うかどうかはわからないが……。 嫌な予感は、した。 「ねぇ、鈴斗」 「どうした?」 「転校生、壊していい?」 あぁ、嫌な予感だ。 早速当たるとは、本当に最悪なパターンだ。 この転校生、よりによって、親衛隊の中で一番厄介な茉貴に目を付けられた。 「やめておけ。後始末をするのはお前じゃないだろ」 「えー、でも鈴斗でもないじゃんかー」 「確かにそうだが、春の身にもなってろ。最近また疲労で痩せてたぞ」 春というのは、茉貴の代わりにいつも後始末をさせられている不憫な親衛隊員だ。 茉貴も悪気はないらしいが、春はお人好しすぎる。 そのせいで、厄介なことに巻き込まれたり、後始末をやらされてしまう。 弟みたいで可愛いと感じている俺から見て、とても心配だったりする。 「……見たの?」 「なにをだ?」 「春の……裸」 あぁ、茉貴も可愛いな。 冷酷なんだが、意外なところで純粋だったり無知だったりする。 だから、今も赤面している。 「あぁ、たまたま風呂で会ってな」 「え、鈴斗も春も大浴場とか行くの?」 「まぁ、露天風呂が気持ちいいからな……」 それを言うと、必ずジジィかと突っ込まれる。 [*前へ][次へ#] [戻る] |