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忠実恋愛事情

「申し訳ありません」


彼に頭を下げた。

彼は、あの不良が言ったとおり、この学園の生徒会長だ。
俺は、そんな彼を護るべき立場にある。


「なんのことだ」

「あの男との接触を防げませんでした。そのせいで、会長様に不愉快な思いを……」


彼に、不愉快な思いをさせるわけにはいかないのだ。
彼に怪我をさせるわけにも、危ない目に遭わせるわけにもいかないのだ。

全てのことから彼を護るのが俺の使命だと、幼い頃に教えられた。


「鈴斗。俺が強いのはお前も知っているはずだ」

「それでも、危険であることには間違いありません。会長様が、俺を邪魔に思っていることは重々承知です」


生徒会の皆様は、俺達親衛隊を邪魔に思っているはずだ。
しかも、そのトップに立つ者ならば尚更……。

それでも、俺は彼を護らなくてはいけない。
それが、仕事なのだから。


「待て、なぜ俺がお前を邪魔に思う必要があるんだ」

「親衛隊の隊長ですから。副会長様も、仰っていましたし……っ」


副会長の名前を出した瞬間、身体全体が痛み出す。

理由はわかっている。
忘れたくても、毎日あることじゃ忘れることはできない。

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