忠実恋愛事情
3
「申し訳ありません」
彼に頭を下げた。
彼は、あの不良が言ったとおり、この学園の生徒会長だ。
俺は、そんな彼を護るべき立場にある。
「なんのことだ」
「あの男との接触を防げませんでした。そのせいで、会長様に不愉快な思いを……」
彼に、不愉快な思いをさせるわけにはいかないのだ。
彼に怪我をさせるわけにも、危ない目に遭わせるわけにもいかないのだ。
全てのことから彼を護るのが俺の使命だと、幼い頃に教えられた。
「鈴斗。俺が強いのはお前も知っているはずだ」
「それでも、危険であることには間違いありません。会長様が、俺を邪魔に思っていることは重々承知です」
生徒会の皆様は、俺達親衛隊を邪魔に思っているはずだ。
しかも、そのトップに立つ者ならば尚更……。
それでも、俺は彼を護らなくてはいけない。
それが、仕事なのだから。
「待て、なぜ俺がお前を邪魔に思う必要があるんだ」
「親衛隊の隊長ですから。副会長様も、仰っていましたし……っ」
副会長の名前を出した瞬間、身体全体が痛み出す。
理由はわかっている。
忘れたくても、毎日あることじゃ忘れることはできない。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!