忠実恋愛事情
2
「それなら、頑張りがいがありますね」
まぁ、身代わりとは言っても、まだなにもされてはいないが。
もし耐えられなくなったなら、俺に当たれと言った。
だから、やりすぎた制裁はするなと伝えた。
つまり俺は、制裁対象の身代わりだ。
一応、現時点では成功しているのだろう。
親衛隊員はそれはできないと、耐えてくれている。
「一体どんな魔法を使ったんだ。お前が隊長になるまで、言うこと聞かなかったんだぞ。面倒ったらなかった」
「先生、面倒嫌いですもんね」
「誰だって嫌だろう」
気持ちはわからなくもない。
が、仮にも教師がここまで面倒嫌いでいいのかと心配にもなる。
絶対事件が起こったらキレるタイプだ。
「誰かがやらなくては、終わらないんですよ」
「……どうかしたのか?」
「いえ、こちらの話です。ところで、転校生がこれから大変かもしれません」
制裁の許可が出たと知った茉貴の喜びようは大きい。
恐らく、小さないじめは明日にでも始まる。
きっと、会計はすでに虜なのだろう。
一般生徒は立ち入り禁止である、生徒会室へ連れて行ったんだ。
間違いないと言ってもいいだろう。
「確かにな。俺としては、やっちまえと思うんだが……理事長の甥だしな」
「理事長の心配はありませんが、俺の立場上の問題があるのでなんとも」
「あぁ、早乙女一族に仕えてんだったな。生徒会長護るためだったか、親衛隊長なったのは」
「はい」
一応担任ではあるから、知っていてもおかしくはない。
だが、違う。
こいつは、できるやつだ。
「先生、俺は確かに早乙女一族に仕えていますが、会長様の情報はどこで知ったんです?この情報には、厳重にロックがかかっているはずですが」
「あー、やっぱ似てんな。早乙女も、橘も……親父さんそっくりだ」
「……父と、知り合いですか?」
なぜ、ただの教師が俺達の父親を知っているんだ。
いや、知っているのは当たり前だ。
そうではなく、似ていると言った意味が知りたい。
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