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新月を追って

 笹山の提案に斉藤は乗り気だった。早くヤりたくてたまらなくてわくわくした。けれど、その楽しみもすぐ打ち砕かれることになる

『笹山さん』
『ん?なんだよ外村』
『当分、中西はやめにしませんか?』

 笹山と外村は見つめあったまま、しばらく言葉も発せられなかった。少しして笹山がおどけた風に

『急になに言い出すんだよ外村ぁ……まさかアイツの味方するつもりなのか?』

 息が掛かりそうなほど近くに笹山は外村に顔を寄せ目を睨み付けながら言った。外村は目を反らしもせず

『違いますよ、末永くおもちゃを楽しむために、です』
『おもちゃ?アイツのことか?』
『はい、毎日のように遊んでたら壊れるかもしれない、壊れない程度にケアしてやりながら遊べばずっとずっと…楽しめると思うんですよ』

 外村はジーっと笹山の目を見つめながら言った。笹山が何かを言うまでその目はそらされることはなかった

『…わぁかった、わかったよお前の好きにしろ』  

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