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新月を追って

「俺、ここで寝ます」

 なにか嫌がられるようなこと、俺はしてないよな?と直哉が一瞬不安で頭がいっぱいになりかけた時、敦志は決意したように言った

「ダメだって、見つかったら怒られるし…風邪引くだろ」
「でも俺…あんなとこ戻りたくないっ」

 狼狽えながらも正論を言って帰ろう、と手を伸ばしかけた直哉は敦志の尋常じゃない言いぐさに驚いたようだった

「どうしたんだ?ほんとに何があったんだ?」
「それは…」

 必死な顔で必死に言ってたのが嘘のように核心に触れようとすると敦志は俯いてしまって言葉を発することが出来なかった
 直哉の心配はとても有り難かったが敦志の身に起きたことはとても言えることではなかった。言ってしまえば軽蔑されるかもしれない、誰にも決して知られてはならないことだった

「言いたくないなら…良いけど、でもやっぱここで寝るのは良くない。消灯したら大丈夫だと想うからさ…俺の部屋来いよ?なら…良いだろ?」

 敦志は驚いたが、折角掴んだベンチ、風邪なんかで
手放したくないだろっという直哉に押し切られて結局その夜は消灯してから直哉や他の部員がいる部屋に行って直哉の布団に潜り込んだ
 布団は余分にはなく、同じ布団に潜り込んで背中合わせになったが敦志は男と同じ布団にいるという状況にしばらく寝付くことが出来なかった

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あきゅろす。
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