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新月を追って

 それから敦志は直哉と風呂に入りながら話をした。話してみる前は、まるっきり自分とは違うタイプに見えていたのに話してみるとそうでもないことが分かって話が弾んだ。
 風呂から上がる頃には二人はすっかり打ち解けており、風呂から上がった後もロビーで話をした。部屋に戻りたくない敦志が少し無理に直哉を引き留めていたのだが嫌ではなさそうだった。
しかしそんな時も永久には続かない

「やべぇそろそろ消灯だ」

 人もまばらになってきたロビーをやはり同じサッカー部員と思しき人たちが慌てて通り過ぎていく、直哉も携帯を取り出し時間を確認する

「俺等もそろそろ帰んなきゃな」
「俺……帰りません」

 ソファから立ち上がりかけていた直哉は驚いた。先ほどまで柔らかい表情で談笑していた敦志が急に硬い表情で言い放ったから一瞬硬直したように動けなくなってしまっていた

「ど…うしてだよ?」

 やっと笑いながら言葉を発することが出来た直哉だが敦志は直哉を見ずに部屋に戻りたくないと膝を抱えた

「…なんかあったのか?」

 完全に膝に顔を埋めてしまった敦志に少し戸惑いながら直哉は声をかけるがいくら経っても敦志の答えは得られなかった。
 心配して肩に手で触れると敦志はびくっと震え何かに怯えているようにも見える敦志の反応に反射的にごめんと言って手を離してしまう直哉


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