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新月を追って

 敦志がそんな風に物思いに耽っていると

「洗わねぇの?」

 頭をざっと濡らしたらしい直哉に声を掛けられた。
声を掛けられて敦志は自分がシャワーを出しっぱなしにして何もしてないことに気付いた

「いや、あの…洗いますっ」

 慌てて鏡の隣に置かれたシャンプーやらボディソープやらのボトルに手を伸ばす。あまりに慌てていたから手に取った液体がどっちだったか分からなかった。一瞬悩んだが、いいやっと頭に手をやった

「それ、ボディソープだろ」
「え?うそマジですか?」

 慌ててシャワーで頭を洗う敦志に直哉は面白い奴と目を細めて笑った。
 今度はちゃんとシャンプーを手に取り、髪になじませるように掻き混ぜていく敦志。一足先に髪を洗い終えた直哉はボディソープをタオルに取り身体を洗いながら

「今日は惜しかったな」

と呟いた。

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