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新月を追って

―――ガラガラッ

 少し勢いよく引き戸が開けられる音がして敦志は慌てて指を引き抜き、出しっぱなしにしていたシャワーで足元の精液を流すが、見られたんじゃないかと気が気ではなく入ってきた誰かの動きを耳だけで追う
 湿った床を歩く足音が聞こえ、足音が止まった、と想ったのと同時だった
 あっという短い声がして思わず敦志は振り返っていた。振り返ってその姿を目に認めると敦志もまた、あっと声を発していた

―――この人…知ってる

「坂井、先輩」
「中西…だよな?一年の」
「あ、はい…」

 それは直哉だった
まだ話したことはなかったがプレイは何度か見たことがあった。
相手DFが当たり負けしてしまう身体の強さ、それだけじゃなく意外に上手い選手で記憶に残っていた

「お前も今風呂?」
「はい…ちょっといろいろあって」
「隣いい?」
「あ、どうぞ」

 木の腰かけと桶がコンクリートの床に置かれると高い音が大浴場の中に響いた。続いてシャワーが勢い良く水を吐き出す。髪を洗うつもりなのだろう、頭からシャワーを浴びる直哉を敦志はそっと盗み見た。
 さっきのことを見られたのではと想ったが気にする様子はまるでない。運良く見られなかったのだろうか?なら良いのだが…

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あきゅろす。
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