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新月を追って

 むうっと膨れて暴力反対!だの言ってる千田が可愛らしく、敦志や周りの部員たちも目を細めていた。

「千田が悪いんじゃん!中西ちゃんにこういうことしていいの、俺だけなの」
「ちょっ」

 千田と打って変わって腰を抱き寄せられ敦志は思わず両手を使って松島の身体を押しのけようとするが抵抗空しく抱き寄せられてしまっていた。
 それを見つめる千田の呆れ顔は、その周りの全員の心境を代弁していたが、そんな周りの反応なんて構いもせず松島は続ける

「俺、それ食べたいな」
「いいですよ」
「中西ちゃん、あーんして」
「…は?」
「もー、食べさせてよ」
「な、…じ自分で食べてくださいっ」
「やだっ」
「…先輩、あっちゃん嫌がってます」

 断っても諦めることを知らない松島が無理矢理させるつもりなのか敦志の手をとり、まだごねているのを見かねて千田が声を掛けた。
 温厚な千田にしては珍しく少し怒った声色だったが気付く者はいなかった。

「もー、いじわるっ」
「ゃ、ででも嫌がってますから!」

だが、振り返った松島が少し泣きそうだった為、千田は焦って言い聞かせるように松島の肩にポンと手を置いた。
 しぶしぶ、敦志から離れようとする松島だったがその時…


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あきゅろす。
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