新月を追って
6
――ピーーーッ
劈くようなホイッスルで、ストレッチの時間は終わりを告げ監督の下に皆が集まった。その短い間に松島が近寄ってきて、ごく自然に敦志の肩に腕をまわしたので敦志はギョッとしてしまった。
「ちょっ…今はダメですっ」
慌てて振りほどくと、いつものように松島が唇をつきだして不機嫌な顔をした。そしてキスをしてしまうのではという程、敦志の耳元に顔を近づけると
「えー…俺、我慢できない」
「…っ」
甘くささやき掛けてきた。
耳のくすぐったさと台詞に耐えかねて、敦志が松島の胸元を押し離すとそんな二人の行動を咎める様に監督が咳払いをし、漸く松島は大人しく監督の話を聞く態勢になった。
敦志も突然のことで紅潮した頬のまま松島を睨んだあと同じように話しに耳を傾けた。
「これから、明日の練習試合に出すメンバーを決めるミニゲームをする!レギュラー、サブ関係なく調子が良かったものを使うからな」
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