新月を追って
3
―――まだ、好きって…諦めきれてないってこと、なのかな
「中西ちゃん?」
「…松島さんなんか、知りません」
「ごめんっごめんてばー」
声をかけても敦志の返事が得られないと分かると松島はため息を吐いて、それからチラリと直哉を見やると直哉は既にこちらを見てはいなかったが、横顔からも不機嫌さが滲みでていた。
それはまるで、敦志に気持ちがあるように思えて松島も自然と眉間に皺を寄せる。
しかし、松島と付き合えと言ったのは直哉なのだから思い過ごしだろうと、自分に言い聞かせながら松島はポケットにしまっていた紙をガサガサと取り出して広げた。そして、この合宿の部屋割りが書かれた紙を眺めながらため息を吐く。
紙には何人かいる同室の名前の中に松島と敦志、そして直哉の名前が記されていた。
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