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新月を追って
12
 ひとしきり泣いて落ち着いてくると敦志は、時折この狭い路地にも人が行き交っていることに気付いた。誰かの足音に、男同士抱き合ってる事から冷たい視線を向けられるのではと不安で、ついつ離れようと身動ぎしだすと松島は一層、敦志を抱きしめる

「ちょっ……松島さん? 離して、見られたらっ」
「中西ちゃーん、今更でしょ……大丈夫、俺は見られても平気だよーっ」

 などとどこが嬉しげに言いながら更にギューッと抱きしめてくる
「いや、でも変ですって男同士で…」
「中西ちゃん、俺が誰かに見られるからって泣いてる中西ちゃんをポイしちゃうと思ってるの?」
「ポイって……っーか苦しっ」

 力いっぱい抱きしめられ息苦しさにジタバタ暴れると漸く松島の腕から解放された。
 ごめんね?などと心配顔で覗き込んでくる松島に敦志は少し嬉しげに口元を笑わせながら涙を拭った

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あきゅろす。
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