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新月を追って

 あれから学校生活は平和そのものだった。身体を求められることはない、外村は約束を守ったということだろう。だが何もない日常と引き換えに視線を感じるようになった。誰なのかは察しがついていたが気付かないふりをして普通に振舞っていた。
 あんなことがある前と同じ景色のはずなのに昔とは違う、違和感を感じてしまうのはその視線が忘れさせないからなのかもしれない


―――お前は俺のものだ



 ふとした瞬間に思い出す、囁かれた声色、耳に触れる吐息、体温。奥まで抉られてゾクゾクと上り詰める感覚が刻み込まれて支配されているようで敦志は深い溜め息を吐いた。
 松島と付き合うことはそれから逃れる為の手段でもあったが踏み出せずにいた。外村を裏切ることへの恐れと松島を傷つけたくないのと何より自分を裏切れないからだった


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