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新月を追って
19
『疲労骨折ですね……1、2か月部活は休んでください』

 医者の診断は最後通告のようだった。先ほど忘れられた不安に怖れに再び囚われ、それ以降の詳しい説明は耳に入らなかった

「中西ちゃん、大丈夫?」

 処置が終わって大分ぼんやりとしていたのだろう、我に返ると松島が目の前で屈んで顔を覗き込んできたところだった。状況が飲み込めずに慌ててキョロキョロとすると

「もう会計済ませたし、帰ろう?」

 と松島が折っていたひざを伸ばして立ち上がり、そして間髪入れずに頭を撫でられ敦志は、わっと呟いて目を瞑った。されるがままにしていると少し落ち着いた

「すいません、会計っ」

 松島の気が済んだ頃、立ち上がって申し訳なさそうに切り出すと目を丸くして松島はいいよいいよと笑った。それより帰ろう、と手を掴み歩き出す

「あのっちょっ」

 促すように弱い力で手を引かれた敦志は抗議を言いかけたまま、諦めたようについていった

「チャリ持ってくればよかったなぁ」

 病院を出て、帰る手段が徒歩しかないことを思い出して松島がぼやいた

「いい、ですよっ歩きましょう? そんな大げさな怪我じゃないし多分」
「だけどさぁ一応足はあんま使わないほうがいいんじゃない?」
「そうなんですか? で、でも歩くくらいは、そんな痛くないし」
「バス! バスないかなぁ?」
「松島さんっだからいいって」

 話しながら歩いて近道の小路に入り込んだ頃、敦志の話を聞いていたのか、突然思いついたらしい松島はバス停を探して突如視界から消えた

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あきゅろす。
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