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新月を追って

 結局その夜、敦志はそれからなかなか寝付けなかった。だが寝入ってから夢は見なかったらしい、次に起きた時、敦志は敦弘に身体を揺さぶられていた

「兄貴ーぃ、起きろよっ」

 目を開くと少し不機嫌そうに頬を膨らませた敦弘が見下ろしていた

「ん…おはよ……」
「おはよ、じゃないし! 布団かけて寝ろよ、風邪引くだろ! っーか今日兄貴メシ当番なんっすけどー」

 ほら起きる、と引っ張り起こされベッドに座り込みながら敦志はまだ眠たそうに欠伸をしながら目を擦った

「全く危機感ないな」
「んー?」
「兄貴、今何時か知ってる? ほらもう結構ギリギリなんだけど!」

 そう呆れ口調で敦弘に目覚まし時計を手渡される。ぼんやりとした思考と視界でなんとなくそれを見やると漸く時計が指し示す時刻に気付いたらしい

「えーっ!?もうこんな時間!?」
「…気付くの遅すぎでしょ兄貴」

 時計から敦弘に視線を戻して制服姿なのに気付くと敦志は慌ててベッドから飛び降りた。そして、わーだの叫びながら制服を着込んで敦弘を置いて部屋から飛び出して行った
 ドタドタと階段を降りていく音を聞きながら敦弘は深い溜め息を吐いた

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