新月を追って
1
眠りは唯一残された安らぎ、自らの体温に包まれる幸せに無意識ながら顔を綻ばせ寝返りを打った。
その衝撃で目を覚ました敦志は寝起きの今にもくっつきそうな目のまま手探りで携帯を探した。
充電のコードで繋がれたそれを見つけ出し開いて画面を覗き込むが、今日も目当てのものをみつけられずに深い溜め息と共にそれを閉じて携帯を握っていた腕をベッドに力なく横たえた
メールが来ていない
一日に2,3通はあったメールが思い越せばそう、あの日から
保健室で松島に抱かれた日から来ていない
どんな暗闇だろうと一筋の光で不安も拭われ、それを希望に生きていける。でも消えないで欲しいと願っていた、たった一筋の儚い光は消えてしまった。
再び果てのない暗闇に取り残されたようで敦志は目に涙を滲ませた
助けを求めても
この声はきっと聞こえない
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