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新月を追って
20
「中西ちゃんっ」

 サッカー部が陣取った辺りに着くなり、そう感極まった声にお出迎えされた。
 今し方来たばかりでまだ敷物に座っていなかった松島は敦志を見つけるなり抱きついてきたのだ
 困ったように乾いた笑いを繰り返す敦志を除けばまるで感動の再会。しかし辺りの部員の反応もどちらかと言えばあ〜ぁ、また始まった的に呆れた様子だ

「も、もうっ…離れてくださいよっ」
「えー…」

 渋る松島の体を押し離しにかかっていると不意に向けた視線の先でやはり未だ敷物に座っていなかった直哉と目が合った
 途端に笑みを浮かべかける敦志と反対に直哉はすぐさま、気まずそうに目を反らした。思っても見ない反応をされ、思わず手が止まってしまう敦志

「どうしたの?」
「え…ぁ、なんでも」
「ふぅん?じゃあいいや、花火一緒見よう?」

 松島に顔を覗き込まれ、慌てる内心を悟られないように誤魔化すと深いことを気にしない松島はニッコリ笑みを浮かべ敦志の手をとって敷物に座った。
 敷物では来た順に座っていったせいか不運にも直哉の隣に松島、そして敦志という奇妙で、なんだか気まずい空間になった。
 すぐさま、この雰囲気を打開したがるように千田と依月を探すのだが依月が清澤の元へ行く千田に連れて行かれる背中が見えた

―――やっぱこの三人、しかないか…



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